生活クラブ生協連(加藤好一会長)は、来るべき衆議院選挙に向けた各政党のマニフェストへの反映を求めて、「『食料安全保障』確立のための『自給力向上』に向けた実践的政策提案」を9月下旬から10月上旬にかけて行なった。提案をしたのは、自民党・民主党・公明党・共産党・社民党・国民新党・新党日本・改革クラブの8党。
生活クラブ生協は、「衆議院選挙が必至の状況となり、国民による政治選択の季節」がやってきた「今こそ、主権者である私たち消費者が、食料問題に関する重要な課題について発言すべきと考え」この政策提案まとめたという。
提案の骨子は
1.「食料安全保障10年の計」を今こそ国民に示す
2.10年後の農山漁村を含む「あるべき日本社会の姿」を希望あるビジョンとして示す
3.従来の農政を抜本的に見直し、増産政策を基本に据えることが必要
4.水田フル稼動を増産政策の基本とすることが有効であり必要
(1)増産政策の基本は、水田のフル稼働
(2)主食用米の再生産が可能となる政策の導入が不可欠
(3)米の消費量の維持・拡大と、新規需要米の生産振興を推進
5.自給力向上のための重点作物を戦略的に定め、その生産振興政策を明示▽主要穀物の大豆・麦▽食用油糧原料としての菜種▽飼料原料としての飼料用米・ホールクロップサイレージ
6.減産政策から増産政策への抜本的な転換を
7.食料自給力の向上に向けた食品表示制度の抜本的な見直しを
8.地域再生=担い手づくりに相応しい、協同組合等への育成・支援策を強化
の8項目。
◆飼料用米など「自給力向上プログラム」の実践を踏まえた提案
生活クラブでは、日本の食料自給率が減少しているなかで、飼料・肥料・資材価格が高騰し日本や「南」の国々のくらしを直撃していること。さらに「中国製ギョーザ・ミルクへの毒物混入、輸入汚染米の不正転売等の事件が相次ぎ、食料輸入に依存する日本の食の安全・安心が、大きく揺らぎ続けて」いること。
WTO交渉にみられるような「食料をめぐる国際協調プロセスは、穀物を含む過剰農産物の存在を前提」としてきが「その前提はもはや終焉を迎えつつあり」世界の穀物需給は逼迫の一途を辿っており、「日本の食料安全保障の確立が緊急かつ最重要課題となったことは自明」であること。一方で、「穀物輸出国が輸出規制を実施し、穀物を資源外交の武器にしようとしている動き」があるが、「日本の第一次産業は危機的な状態」にある。
そうした状況にあるいま必要なことは、短期的な政策にとどまることなく「食料安全保障」という「トータルで長期的な観点に基づき、地域と農林漁業の再生をつなぐ担い手が将来への希望が持てる社会的条件をつくる視点を踏まえた、食料自給力向上のための政策」だと考え今回の政策提案を行なったという。
そして、山形県遊佐町における「飼料用米プロジェクト」、国産なたねの生産、国産鶏種の維持、3つの牛乳工場の経営など消費者と生産者が提携し取り組んできている「自給力向上モデル」の実践を踏まえて、こうした問題提起をしたとしている。
生活クラブ生協では、10月末を目途に、提案をした政党に対して、この提案がどのようにマニフェストに活かされるかのアンケート調査を実施することにしている。各政党がどのような回答をするのか注目していきたい。
(政策提案の詳細は、生活クラブ生協のホームページで)