朝食を食べない子どもは平成17年の4.1%から現状は3.5%と改善されたが、0%にするという22年度目標にはまだ距離があるなどといった課題や施策を内閣府がまとめた「19年度食育白書」が10月28日閣議決定された。17年度施行の食育基本法に基づくもので今回は3回目。白書の正式名称は「食育推進施策」。
朝食を摂る子どもは微増しているが、逆に20歳代男性では朝食の欠食が29.5%から30.6%に増えて、15%以下にするという目標から遠ざかった。「働く貧困層」などの問題もはらんでおりそうだが、白書は要因分析はしていない。
政府は食育基本法を受けて18年度から5年間の食育推進基本計画を定め、地場産物を学校給食に使う割合を30%に引き上げるなど9つの目標値を掲げ、年次白書で推移を報告している(下図参照)。
学校給食への地場産物使用は文科省の調べによると16年度の21.2%から翌年度は23.7%(食材数ベース)に増加した。
肥満者の比率などを都道府県ごとに示したのも特徴的だ。男女ともに肥満者の割合が低いのは東京、神奈川、岐阜、静岡、大阪だ。12歳未満の子どもの肥満率が男女とも低かったのは福井、滋賀、京都。
野菜の摂取量が男女とも高かったのは岩手、宮城、秋田をはじめ東北地方を中心とした地域だった。
家庭における食育の推進については、毎日朝食を食べる子どもほど学力調査の平均正答率が高い傾向にあることが、調査した小6と中3のすべての教科で明らかになっており、持久力も高い傾向にあると強調。
また農林漁業者などによる体験活動の促進については、体験機会を提供する教育ファームの取り組み推進を報告した。
とくに中央酪農会議の提唱で13年に酪農教育ファーム認証制度が創設され、今では全国の認証牧場数が249に達していることなどが挙げられた。
◆“食事づくりの時間減った”
このほか内閣府による食育に関する意識調査(20年3月)結果は次の通り。
「食育」という言葉を知っていた人の割合は74%で前年より8.8%増加したが、うち「言葉は知っていたが、意味は知らなかった」が33%あり、前年より1.7%増えた。
内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)という言葉は認知度が高く「言葉も意味もよく知っていた」と「意味もだいたい知っていた」を含めると87.6%で前年より10%増えた。「言葉は知っていたが、意味はあまり知らなかった」は6.9%。
子どものころと現在との変化で“減ったり、狭まったりしたもの”は「食卓を囲む家族の団らん」が約42%で最も多く、次いで「地域性や季節感のある食事」「食事の正しいマナーや作法」「食事づくりに要する時間や労力」の順。