湿原の保存に関する国際条約としてのラムサール条約(=日本語での正式題名は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」)の第10回締結国会議が10月28日から11月4日まで韓国の昌原(チャンウォン)で開かれ、日本と韓国が共同で提出した「湿地システムの水田における生物多様性の向上」(=水田決議)が採択された、と農水省が11月5日発表した。
世界の114か国で生産され、世界の人口の半数以上の主食としてカロリー供給の20%を占める水田が持つ生物多様性の保全に注目したもので、世界の多くの場所で水田が湿地生態系を支え、水鳥のフライウエイ(渡り経路)と水鳥の保全に重要な役割を果たすものとして意義づけた。また、使用していない時期の水田を灌水することにより、渡り性水鳥などの動物に生息地を提供し、雑草や害虫の管理を行うための取り組みがおこなわれていることを評価した。
締結国会議として、締結国に対し、地下水かん養(=地下水を溜めて増やす)、気候緩和、洪水・浸食防止、地すべり防止や生態系保全など、持続可能な水田農法により水田の生態学的価値を保ってきた文化に関しさらに調査を進めることを奨励する、などとしている。
同会議では、水田決議のほかに、気候変動と湿地、湿地と人間の健康など、32本の決議が採択された。