なぜ都道府県知事が農地転用を許可したのか、適切でない事案が1割以上あるという許可事務の実態調査結果を農水省が11月4日発表した。平成19年に都道府県が許可した2ha以下の1350件の中では164件(12.1%)が「法令の解釈が妥当とはいえない」など「疑義が残る」とした。
その1つとして、20ha以上の集団的農地(第1種農地)は転用が原則不許可だが、その可能性がある農地の1部が第2種農地として転用されていたケースを具体的に挙げた。
また▽集落から300m離れた農地を、街区の区域内にあるとして許可した▽水道管やガス管などのある道路から60m以上も離れた農地を道路沿いの第3種農地と認めて転用した▽500m以内に2つ以上の公共公益的施設(役場とか教育・医療施設など)があれば第3種農地だが、そうした施設がないのに転用を許可したなどの事例もあった。
このため同省は今月中に転用許可事務を適正化するよう各都道府県などに通知する。
調査は「地方分権改革推進要綱」(今年6月)が転用許可権限を農水大臣から都道府県知事に移譲するよう求めたことに対し、5〜10月にかけ実施した。こうした調査は初めてだ。
地方農政局などの担当者が都道府県庁に出向き、書類を閲覧して調査したが、疑義のある事案については市町村にも意見照会し、確認の必要な事案は農政局担当者が現地調査もした。
調査は抽出で行い、都道府県知事の許可事案だけでなく、農水大臣の許可事案および知事から協議を受けた事案192件についても実施した。うち協議事案の3件(1.6%)は都道府県の「許可相当」とする判断に裏付けの確認が不十分と認められた。
〈第2種農地〉
▽農業公共投資の対象となっていない小集団の生産力の低い農地
▽市街地になる可能性のある農地
〈第3種農地〉
▽都市的に整備された区域内の農地
▽市街地にある農地