農政・農協ニュース

農政・農協ニュース

一覧に戻る

北海道・東北ブロックの減少幅大きく

−ブロック別JA損益概況

    JA全中はこのほど19年度総合JA決算概況のブロック別状況をまとめた。調査対象は791JA。    事業取扱高のうち貯金については全ブロックで前年度比増となり、全国平均2.3%増にくらべ近畿2.9%、東海・北陸2.8%、関東・甲信越2.5%と都市圏ブロックでの増加が目立つ。    一方、貸し出し金については全体として増加傾向にあるなか、北海道・東北のみ1.5%の減少となった。    長期共済保有高は全ブロックで前年比減となってい...

    JA全中はこのほど19年度総合JA決算概況のブロック別状況をまとめた。調査対象は791JA。
    事業取扱高のうち貯金については全ブロックで前年度比増となり、全国平均2.3%増にくらべ近畿2.9%、東海・北陸2.8%、関東・甲信越2.5%と都市圏ブロックでの増加が目立つ。
    一方、貸し出し金については全体として増加傾向にあるなか、北海道・東北のみ1.5%の減少となった。
    長期共済保有高は全ブロックで前年比減となっているが、東海・北陸と九州の▲2.1%に対して、北海道・東北と中国・四国は▲3.9%と落ち込み方に2倍近い開きが出ている。
    販売品販売高は東海・北陸で▲5.8%と減少率ではもっとも高いが、金額ベースでは全国の減少額約1420億円のうち、北海道・東北が約670億円と半分近くを占めるという厳しさを示した。購買品供給高は中国・四国で▲3.9%と落ち込んだが、九州3.1%増、北海道・東北0.1%増となり全国ベースでは▲0.2%とほぼ横ばいとなった。
    事業総利益は北海道・東北▲4.4%、中国・四国▲3.4%と減少幅が大きい。関東・甲信越では1.8%伸びたがその要因は8.6%の伸びを示した信用事業総利益にある。
    事業利益・経常利益は関東・甲信越以外はすべて前年比減で、なかでも北海道・東北では事業利益▲53.2%、経常利益▲35.2%と減少率が大きく、JA全中では同ブロック内の「JA経営が逼迫しつつあるものと思われる」としている。
    調査対象JAのうち事業赤字JAは85。このうち40%以上が北海道・東北ブロック内のJAとなっている。一方、東海・北陸ブロックの事業赤字JAは4JAにとどまっており地域差が広がっている。
    人件費の削減も北海道・東北▲2.8%、中国・四国▲3.4%の一方、近畿、東海・北陸では横ばいとなっている。県別の集計では人件費の増加県が10県あり「人件費水準が二極化している」(同)。
    また、今回の集計では小規模未合併JA(出資金5億円未満、または組合員資本10億円未満)についての特徴も分析している。それによると全JA平均の自己資本比率17.4%に対して、小規模未合併JAは17.6%とほぼ変わらないものの、事業赤字JAの比率が全国平均の約2倍の20.1%となっている。JA全中は「突発事象によって急激に経営が悪化するリスクをはらんでいる」と指摘、また、労働生産性、事業管理費比率などの指標も全国平均より劣っていることから早期の合併が求められるとしている。

(2008.11.12)