農水省の井出事務次官は11月10日の会見で日本での年内開催をめざしていたG8農相会合について、国際的な金融危機などの理由から「日本での今年中の開催を見送る」ことを明らかにした。
穀物価格高騰など世界的な食料危機を受け今年7月のG8洞爺湖サミットでは食料問題をテーマにした農相会合を開催することに合意したが、井出次官は「夏以降、国際情勢が急変しG8諸国の課題が食料から金融へとなった。目の前の危機をどう打開するか各国が力を集中している。残念ながら残された期間で立ち上げるのは難しいと判断した」と述べた。
ただ、食料の国際価格は落ち着きを取り戻してはいるものの「世界の飢餓人口は増えている。今回のことで食料需給が脆弱であるとの認識は諸国で共通になった。のど元過ぎて熱さを忘れるということにはならない」と指摘し今後、G8農相会合が開催されないということを認めたわけではないと話した。しかし、来年のG8サミットの議長国はイタリアに移る。日本が議長国として会合を開催する機会は逃したことになる。