「日本における食の安全・安心についての誤解は、全て『量の概念』と『モラル』の欠如による」と講演したのは、鈴鹿医療科学大学で食のリスクコミュニケーションを専門に研究している長村洋一教授だ。ポジティブリスト制度制定の経緯を説明しながら、一律基準0.01ppmやADI(1日摂取許容量)の数値がいかに厳しいものであるかを説明し、「一律基準の2倍の残留農薬の入ったお米を20年間食べ続けるよりも、1日15gの食塩を摂る方がはるかに健康に悪い。消費者が科学的根拠に基づいた判断をできるように、メディアは繰り返し、正確に情報を伝えてほしい」と要望を述べた。また「違反した事業者に対する罰則規定が軽すぎる」と、法整備の必要性も語った。 フリーディスカッションでは、「許可量、ADI、TDIなど多くの数値があり、混乱することが多い。どうすれば一般読者に正確に伝えられるか」、「欧州諸国の数値設定はもっと大ざっぱで、一般にも分かりやすい」、「事業者や行政は明確な科学的根拠があるなら、あいまいな受け答えをしないできっぱりと断言するべきだ」などの意見が出た。 「めざす会」では今後も定期的に情報交換会や現地視察などを開く予定。 |