バイオ燃料の活用は地球の温暖化防止やエネルギー安全保障の向上に役立つほか、地域の活性化や雇用にもつながり、また耕作放棄地の活用などを通じて食料安全保障にも役立つなど農林水産業の新たな領域を開拓するものであるとの考え方を農水省の国際バイオ燃料基準検討会議が11月5日まとめた。
G8に新興国が加わる合計13ヵ国はバイオ燃料の国際的な基準と指標を策定して来年4月末までにレポートをつくる作業を進めている。これに同省の立場を反映させるため有識者による検討会議を設けて考え方を整理した。
基本的な考え方の中にはバイオ燃料の生産拡大が食料価格の高騰や森林破壊の要因になっているという懸念を払拭する観点も必要であるなどという指摘も盛り込んだ。
食料安全保障については食料とバイオ燃料が原料と土地利用で競合する関係にあることを挙げ、食料生産と両立できるセルロース系原料の利用を促進すべきであるとした。
また食料供給力を向上しながらバイオ燃料生産を進める観点から定性的な基準と指標を策定すべきであると提案した。
生物多様性の保全については貴重な生態系を有する土地では生態系に悪影響を与える原料作物の作付けを禁止するような基準・指標にすべきとした。
今後に向けた課題もまとめており▽バイオ燃料生産は農林水産業の持続的な発展に寄与するものであるという基本的立場を堅持していく▽今後とも国際的な場で基準・指標の議論が行われていくと考えられることから、例えば食料生産と両立するバイオ燃料生産のあり方や土地利用の変化の計算方法などについて具体的に検討していくことが必要などを挙げた。
有識者からなる国際バイオ燃料基準検討会議のメンバーは7氏。座長は東京大学・院農学生命科学研究科の鈴木宣弘教授。生産者サイドでは全農営農総合対策部の小池一平部長。