税制改正反対と都市農地保全を強く訴える茂木会長 |
JA全中と全国農業者農政運動組織連盟は11月27日、税制改正と都市農地の保全を訴える全国緊急集会を開いた。税制改正について全国集会を開くのは10年ぶり。
全中の茂木守会長は「年々減少していく農地を守るために、相続税の課税方式を変更してはならない」と強く求めた。現行の相続税制度では相続人全員が同じ税率となっているが、政府が検討している新制度は取得額に応じた累進課税となり、例えば家業を引き継いだ長男の納税額だけが増加し、農地全体の引継ぎが困難になる。自民党総合農政調査会の谷津義男会長は「この制度では、農業が3代続くと農地がなくなってしまう。制度変更には絶対反対していく」と表明した。
全国から500人以上が集まり、決意表明などに拍手を送った |
相続税制度の変更反対のほかには、▽農地の納税猶予制度の堅持と、貸借農地への納税猶予適用制度の新設▽都市農地を都市計画に盛り込み、税制見直しを行うこと、の3点を出席した与党議員に要請。自民党都市農業研究会の石原伸晃会長も「都市農地には環境保全や、災害防止など多面的機能をもつ。ぜひとも都市計画に盛り込んで都市農業を振興していきたい」と述べた。(関連記事)
◆青年部から2人が決意表明
山本毅 JA全国青年組織協議会理事
家族で農業を経営して20年。決して楽ではないが、農業は命を育む、とても魅力のある仕事だ。しかし、政府の農政を見ていると不安で仕方ない。相続税が累進課税制度になってしまうと、農業を引き継いでいくのは不可能になってしまう。
まじめに農業をやっている者を支えていくのが政治の仕事。相続税の課税強化となる税制改正は絶対に認めるわけにはいかない。
山下直木 愛知県農協青年組織協議会委員長
納税猶予のある農地を貸借した場合でも、納税猶予が適用されるような制度の新設が必要だ。JAをはじめ、市民団体や生産法人など担い手へ農地の貸借ができるようになれば、耕作放棄地の防止になり、安心安全な食べ物の供給ができるようになる。
永年、先輩達が手塩にかけて守ってきた農地を、未来に引き継ぐためにも、新制度の創設と税制改正の反対を訴えていきたい。