農林中金総研が11月20日公表した改訂経済見通しでは9月時点の予想を大幅に下方修正、08年度の実質GDP成長率は前期比▲0.3%と前回よりマイナス0.7ポイントと、7年ぶりのマイナス成長を見込んだ。
名目GDP成長率は前回よりマイナス1.4%の同▲1.8%と予測。名目成長率がマイナスとなるのは02年度以来。
9月時点の見通しでは、日本の景気悪化は資源高騰と欧米経済の成長の鈍りによる輸出の伸びのストップなど海外要因によるものと分析。国内経済としては過剰在庫、生産能力、過大な雇用コストなどが景気後退要因が存在しないことから、景気悪化は「軽微」としていた。
しかし、夏場以降、世界同時不況に陥り、輸出減少による国内企業の生産調整が強まる可能性が高まったきたことに加え、リーマン・ショックによる金融危機、信用収縮でリスクマネーの供給が途絶え底堅さもあった新興国経済も悪化し始めたこと、米住宅市場の低迷が世界GDPの2割を占める米国個人消費の減少を引き起こしているなど、外需依存の日本経済にとって今回の事態は「やや深刻」であると修正した。
09年度についても実質GDP成長率は前期比▲0.2%、名目GDP成長率も▲1.5%と2年連続のマイナス成長を予測した。
国内の民間消費は、ガソリンなど石油製品価格の値下がりは一息つける状態だが、数年前とくらべて価格水準が確実に上がっており消費抑制効果は残ると指摘。また、年金問題、後期高齢者医療制度などをめぐる混乱、雇用環境の悪化などで消費行動は抑制的になるとした。
景気回復の条件は海外経済の底入れ。とくに低迷する米国住宅価格が底入れすることが重要と分析。米国政府が打ち出した金融危機対応策や、オバマ次期大統領が低中所得者向けの手厚い財政支援を実施することを表明していることから、米国経済が恐慌状態になることはないとするが、これらの対策が効果を発揮するまでは時間がかかるとみられ、景気持ち直しは2010年度以降に持ち越されると予想した。