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担い手対応の先頭に立つ優秀なTACを表彰 JAグループTACパワーアップ大会2008

−JA全農

表彰状をわたす永田会長(左)と受賞者たち     JA全農は20年4月から、地域農業の担い手を訪問して営農支援や情報収集をするJA担当者を「TAC(Team for Agricultural Coordination、農業コーディネーター)」という愛称で全国統一し、全国に100のモデルJAを設定するなど、担い手に「出向く」取り組みを進めているが、優良担当者を表彰するとともに、情報交換の機会を設けてさらなる促進をはかるために、11月27日〜28日に「JAグループTACパワーアップ大会2008」を開催した。    会...

表彰状をわたす永田会長(左)と受賞者たち
表彰状をわたす永田会長(左)と受賞者たち

    JA全農は20年4月から、地域農業の担い手を訪問して営農支援や情報収集をするJA担当者を「TAC(Team for Agricultural Coordination、農業コーディネーター)」という愛称で全国統一し、全国に100のモデルJAを設定するなど、担い手に「出向く」取り組みを進めているが、優良担当者を表彰するとともに、情報交換の機会を設けてさらなる促進をはかるために、11月27日〜28日に「JAグループTACパワーアップ大会2008」を開催した。
    会場には表彰対象TACメンバーやJA関係者など300名が出席した。
    永田正利JA全農会長は開会のあいさつで「農協運動の基本は経済事業」にあることを強調し、「農家の所得が減少しているこのときこそ、JAが組合員に手を差し伸べていくことが大事だ。TACのメンバーはその先頭にたってもらうことが役割だ。そしてJA・県・全農本所がスクラムを組み、組合員の視点にたった事業を進めていきたい」と語った。
    また、来賓の野村哲郎農水大臣政務官(参議院議員)があいさつ。矢木龍一全青協参与が「人と人のつながりが地域を発展させる」と「TACに期待すること」を語った。
    神出元一JA全農常務から「全国統一基準の設定で活動の定着をはかる」ための「活動表彰基準」が報告され、5部門の25名が表彰され、永田会長から表彰状と副賞が手渡された。
    表彰TACを出したJAにも表彰状と副賞として王貞治氏のサインボールが渡された。

◆「JAは心の扉を閉ざしている」 7人のTACが活動報告

全受賞者とJA全農幹部など
全受賞者とJA全農幹部など

    新規開拓部門で表彰された上位3人は、全てJA島原雲仙(長崎県)営農部担い手対策課のTACだった。3人を代表して高橋利広課長補佐が、新規開拓の難しさとメリットを語った。
    「TACはどこに重点をおいて活動するかを話し合ったとき、JA未利用の大規模農家に的を絞ろうとなり『エッ!?まじ?』とびっくりした。長年、商系との競争が激しくJA利用率が極端に低い地区では、『農協とは付き合わん。帰れ』『スパイしにきたんか?』などと追い返される日々が続いた」と初訪問時は苦しみながらも、「辛抱強く訪問し続けることでJAを利用してもらえるようになり、『JAに親近感がわいてきた』と喜んでくれる人も増えた」と成果をあげた。
    「しかしTACの活動が1年経った今でも、内部では『未利用者を回って何の意味があるんや。部会を優先しろ』という意見も根強い。心の扉を閉ざしているのは担い手ではなく、農協の方なのではないか。本来、JAの敵は輸入農産物やそれを扱う商社のはず。地元農業者と対立していては10年後にJAはなくなる」と、JAの体質への苦言も呈した。
    そのほか「常に最新の営農情報を提供することで、担い手の3F(不信・不満・不安)を解消した」と話したJA新あおもり(青森県)営農経済部営農販売課の杉田幸雄調査役など、全7人がTAC活動の事例報告を行った。

◆各JAのトップらと全農で座談会

2日めの座談会では1時間以上にわたり活発な議論が展開された
2日めの座談会では1時間以上にわたり活発な議論が展開された

    2日目にはテーマ別分科会とトップ座談会が行われた。座談会はJA全農から神出常務や澤村紀明常務など4人、各JAからはJA新あおもりの奥崎一敬組合長など7人の計11人で行われた。
    各JAからは、
    「情報は鮮度が命。JAや県域の枠を超えた情報の共有や交換が必要だ」
    「女性の視点も必要だと考え、女性TACも配備した」
    「常に問題意識を持ち、何かを作り出せるような優秀な人材をTACにしている」など、現場からの提案や取り組みの紹介などがあり、全農側は、
    「情報の上意下達ではなくて、下から上へくみ上げるためにTACを設置した。各JAのトップはTACの意義を理解して、現在170JAしか活用していないTACシステムの取り組みをもっと広げてほしい」
    と、注文した。

    今回初開催の「TACパワーアップ大会2008活動表彰」で受賞した、各部門別表彰者上位5人。
    【総合ポイント部門】
    1位 高浪敦(JAやつしろ経済渉外課係長)
    2位 杉田幸雄(JA新あおもり営農経済部営農販売課)
    3位 沢井正二(JAあおば営農経済部営農課係長)
    4位 宮本浩二(JAやつしろ経済渉外課)
    5位 野村隆裕(JAやつしろ経済渉外課)
    【情報提供部門】
    1位 杉田幸雄(JA新あおもり営農経済部営農販売課)
    2位 野村隆裕(JAやつしろ経済渉外課)
    3位 高浪敦(JAやつしろ経済渉外課係長)
    4位 横山進(JAやつしろ経済渉外課)
    5位 佐藤将哉(JAみやぎ亘理営農推進部営農資材課)
    【情報収集部門】
    1位 肥後利信(JAいわみ中央営農経済部)
    2位 宮本浩二(JAやつしろ経済渉外課)
    3位 佐藤敏幸(JA新ふくしま農業振興対策室係長)
    4位 後藤喜孝(JA新ふくしま農業振興対策室)
    5位 国分誠(JA新ふくしま農業振興対策室係長)
    【新規開拓部門】
    1位 前田英樹(JA島原雲仙営農部担い手対策課係長)
    2位 高橋利広(JA島原雲仙営農部担い手対策課課長補佐)
    3位 影山健一朗(JA島原雲仙営農部担い手対策課)
    4位 金田茂也(JA山形おきたま白鷹支店経済渉外担当)
    5位 樋口武雄(JA山形おきたま高畠支店経済渉外担当)
    【農業経営相談部門】
    1位 山崎典幸(JAはぐくみ営農部販売課)
    2位 野呂準司(JA新あおもり営農経済部営農販売課)
    3位 大槻浩也(JA京都にのくに営農経済部営農企画販売課)
    4位 中島渉(JA甲賀郡担い手支援室)
    5位 加藤愛子(JA兵庫南加古川営農経済センター)

※奥崎氏(JA新あおもり組合長)の「崎」の字は、本来は旧字体です。
※高浪氏(JAやつしろ経済渉外課係長)の「高」の字は、本来は旧字体です。
※山崎氏(JAはぐくみ営農部販売課)の「崎」の字は、本来は旧字体です。

(2008.12.03)