「表彰事例が担い手育成活動の模範となってほしい」と話す太田豊秋協議会会長 |
担い手や集落営農組織の育成と確保のため、JA全中や全国農業会議所など22の関係機関や団体で「全国担い手育成総合支援協議会」を組織しており、12月4日に平成20年度優良担い手表彰式と、経営改善シンポジウムを開いた。
審査委員長を務めた東農大の八木宏典教授は、今年の受賞者の傾向について「消費者や世の中の動向を見ながら、生産物を決めたり新しい作物を導入したりして、販売量を年々増加させている担い手が多かった。また自らの発展だけではなく、地域農業や人材の育成など地域ネットワークづくりの努力をしている例がよかった」と講評した。
八木宏典審査委員長 |
シンポジウムでは農林水産大臣賞を受賞した5経営体の代表者が事例紹介を行った。
集落営農型部門で受賞したのは、JA佐城の東与賀支所で平成18年8月に設立した中村集落営農組合だ。農地の利用集積と営農管理が評価された。冨吉信行組合長は「農産物の価格下落に歯止めがかからないので、徹底したコスト削減を図っている。GIS(地図情報システム)を活用したり、あぜ道をなくすことでコンバインの稼動効率を高めるなどしている。3年後には法人化をめざしている」と、コスト対策や今後の展望を紹介した。
農林水産大臣賞受賞者がそれぞれの意見を述べた |
10年前に消防士を辞め、受託面積5haから農業を始めたのは個人・土地利用型部門で受賞した三重県の前川正次さんら家族だ。「JA津安芸の受託部会のおかげで、スムーズに農地集積ができ、107haまで拡大できた。生産した米はほとんどJAに出荷しており、持ちつ持たれつの関係だ」と語った。
農林水産大臣賞のほか、農林水産省経営局長賞が27経営体と6組織、全国担い手育成総合支援協議会会長賞が18経営体と5組織で、合計71例が表彰された。