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「WTO妥結に断固反対」全国緊急集会に3000人

−JAグループ (12/9)

JAグループは12月9日、年内の合意妥結にむけて急速に動き出したWTO農業交渉に断固反対の声をあげるため、日比谷公園(東京都千代田区)に全国から代表者3000人以上が集まり、緊急集会を開いた。   茂木守氏 太田豊秋氏 茂木守JA全中会長は「7月以降事務局レベルでは進展がなかったが、年内合意にむけて気運が高まってきた。それはブラジルやオーストラリアなど輸出国の意向を反映したものだ。重要品目8%を守らなければ農村は大混乱するし、未来の農業生産はできなくなる。日本農業を守るために、JAグループはWTO対策を農政の最大事に位置づけて活動していく」と強く反対する姿勢を示した。 &...

JAグループは12月9日、年内の合意妥結にむけて急速に動き出したWTO農業交渉に断固反対の声をあげるため、日比谷公園(東京都千代田区)に全国から代表者3000人以上が集まり、緊急集会を開いた。

 

茂木守JA全中会長
茂木守氏
全国農業会議所・太田豊秋会長
太田豊秋氏

茂木守JA全中会長は「7月以降事務局レベルでは進展がなかったが、年内合意にむけて気運が高まってきた。それはブラジルやオーストラリアなど輸出国の意向を反映したものだ。重要品目8%を守らなければ農村は大混乱するし、未来の農業生産はできなくなる。日本農業を守るために、JAグループはWTO対策を農政の最大事に位置づけて活動していく」と強く反対する姿勢を示した。
    また、友誼団体代表として全国農業会議所の太田豊秋会長が「現在の議長提案は、合意形成だけを狙った不平等条約である。妥結しないようにと働きかけていきたい」とエールを贈った。


    ◆「上限関税の阻止」「重要品目の確保」を要請

田代武満全中副会長
田代武満氏
畠山正夫副会長
畠山正夫氏
全中・冨士重夫常務
冨士重夫氏

現在のWTOドーハ・ラウンド交渉は、2001年に立ち上がり7年以上が経過したが、各国間の対立によってたびたび交渉は決裂してきた。
    08年7月末にまとまりかけたものの中国・インドの反対によってまたも決裂。しかし11月、米国発の世界金融危機によって輸出国側から急速に早期妥結を求める政治的圧力がかかり、閣僚会合の開催と年内合意にむけて、動きが加速している。
    全中の冨士重夫常務の「今でも77万tを輸入しているMA米が、今後100万、110万となったらどうなるのか。将来的な農業の姿が全く描けない。輸入国の農業を守り世界各国の食料主権を認めることが、全世界の人々に貢献する道だ」という情勢報告をうけ、田代武満全中副会長はJAグループの代表として、
    1.上限関税の断固阻止
    2.多様な農業の共存に必要な十分な数の重要品目の設定
    3.非関税割当品目の重要品目への指定の確保
    4.日本農業の持続的発展を可能とする関税割当の設定
    5.輸入急増に対処する特別セーフガード(SSG)の堅持
    の5点を重点要請としてあげた。
    集会では「JAグループが一丸となって取り組んでいく」(畠山正夫副会長)ために「WTO農業交渉に関する緊急決議」(参照)を満場一致で採択し、中央官庁、国会、首相官邸にむかって「悪い妥結は蹴飛ばせ」「国産農畜産物を守れ」「農村を見捨てるな」と声をあげながらデモ行進をした。

竹村英久氏(JA全青協会長)
竹村英久氏

【決意表明】
    竹村英久氏(JA全青協会長)

    農業を愛して取り組んでいる仲間がたくさんいる。この盟友たちをこれ以上減らしてはいけない。子どもたちのため、地域を守るために農業を続けていけるのかと、青壮年部の仲間たちは不安をもっている。
    砂糖原料で、酪農で、米で、地域を守っている仲間がいなくなっていいのか。全国の盟友を守るためにも、日本で食べるものは日本で作るという当たり前のことを守らなければいけない。

福代俊子氏(JA全国女性協会長)
福代俊子氏

福代俊子氏(JA全国女性協会長)
    
JAグループは暮らしと農業を守るために努力してきた。しかしファルコナー議長提案は輸出国の意向だけを反映したもので、7月の内容よりもさらに悪くなっている。議長提案がそのまま妥結されれば、日本の食料自給率はどんどん下がってしまう。
    生産者だけでなく、国民全員が理解し、重要品目8%を死守するために全国女性協80万人が一丸となって取り組んでいきたい。

WTO農業交渉に関する緊急決議(抜粋)
    食料が世界的危機に直面し、争奪が深刻化するような事態は本来あってはならない。農産物の貿易ルールは、中長期的視点で議論するべきであり、各国農業の多様性を無視した合意は、世界の食と農の将来に重大な禍根を残す。輸入国の切実で正当な要求を、なんとしても交渉結果に反映させなければならない。
    世界中の食と農の将来を左右する重大局面で、我々農業者は運動目標に強い確信を持ち、国民の理解と支持を得て、最後の最後まで断固たる取り組みを展開していく。

(2008.12.10)