WTO(世界貿易機関)交渉は、農業と非農産品(NAMA)でそれぞれ改訂議長案が6日に示されたことから閣僚会合が開催されるかどうかが焦点となっているが、米国メディアによるとラミー事務局長は8日に開催されたグリーンルーム会合で、12月13日から閣僚会合を開催することはできないと述べたものの、17日から19日の間での開催の可能性について触れたという。
閣僚会合開催に向けて、ラミー事務局長は3つの課題(綿花補助金の削減、NAMAの分野別関税撤廃、SSM(途上国向けセーフガード措置))について交渉の余地があるかどうかを見極めるため、関係国の閣僚と電話協議をすると述べたとしている。
綿花の補助金問題は米国と西アフリカ4カ国が対立している。議長案では米国の補助金(AMS)について1.4億ドルとするアフリカ諸国の案が示されている。米国がWTOに通報している額は16.2億ドルで大きな開きがある。
NAMAの分野別関税撤廃問題では、米国は市場開放を求め、とくにブラジル、中国、インドが主要な分野に加わるべきと製造業団体が強く主張しているが、ブラジルなどは守りの姿勢だ。SSMは7月の閣僚会合で米国とインド・中国が対立し決裂の原因となった問題。輸入が急増した場合、ウルグアイ・ラウンドで約束した関税水準を超えて関税を引き上げることをめぐって、その発動基準や引き上げ幅で対立している。
石破農相は9日の会見で閣僚会合の開催について「17日から19日に『行い得る状態』」との情報を得ていると話した。
同日は麻生総理を含めたWTO関係閣僚会議を開き、各省庁で連携をとることを確認。総理は「国益をふまえてしっかりやるが、何が国益なのかちゃんとシェアしなければいけない」と述べた。政府は今後も閣僚会合に向けて、関係閣僚会議を開くという。
一方、ジュネーブの情報筋の話として米国メディアは、関係国がここ数日で柔軟性を示すことは期待できずラミー事務局長の進め方に疑問を持っているとの見方や、「10日前にくらべ今月中に開催される可能性はさらに少なくなったように見える」などを伝えている。