JA全農は平成21年1〜3月期の配合飼料の供給価格を、20年10〜12月期に対して全国全畜種総平均トンあたり1万2200円値下げすると発表した。オイルショック直後の昭和50年4〜6月期に前期比で8000円の値下げをしたことがあるが、それ以来の大幅な値下げで過去最大の下げ幅になる。
配合飼料価格の値下げによって、これまで支払われてきた安定基金からの補てん7650円が打ち切られるため、生産者の負担減は実質4550円となる。
急激な値下げの要因は▽トウモロコシや大豆粕価格の大幅な下落▽海上運賃の急落▽急激な円高、など。
トウモロコシは7月上旬に一時1ブッシェル8ドルとなったが、現在は同4ドルにまで下落。大豆粕もピーク時の1トン5ドルから3ドルにまで価格が下がっている。海上運賃は1トン150ドルにまで上がっていたが、現在はその5分の1の30ドルだ。
配合飼料価格は19年1〜3月以来2年間値上がり続け、合計2万3500円値上がった。今回、1万2200円の大幅な値下げとなったが、それでも2年前の水準に比べれば依然として1万円以上高い水準だ。
一方、和牛の消費量は伸び悩み、価格の下落にも歯止めがかからず農家の手取りは低いままで、飼料価格が引き下げられたとはいえ、生産現場の状況は相変わらず厳しい。
JA全農では「穀物価格は現在が底だと見ている。バイオエタノール生産の増産路線を引きつぐオバマ次期米国大統領の施策と、南米の穀物収穫高次第では、再び価格上昇に転じる可能性もある。生産者にとって厳しい状況は今後も続くだろう。できるかぎりの支援を続けていく」と話している。