政府が加工食品メーカーに原材料用として販売したタイ産米の一部からカビ毒のアフラトキシンB1が検出されたため、カビを除いた原料米で製造し、全量が未出荷となっていた製品について、農水省は廃棄処分することにしたと、12月19日公表した。事業者名については、製品が市場に流通しておらず、今後流通しないよう措置がとられたとして、食品危害の発生防止の観点から公表しない方針。
問題の原料米は、今年10月22日に農水省が加工食品メーカーに販売したタイ産うるち破砕米24t(1t入りフレコン24個)。翌23日に加工メーカーが製造工程に張り込みした際、一つのフレコン(1t)のなかからカビ状の異物180gが発見されたと、同メーカーから所管の地方農政事務所に連絡があったという。
農水省が登録検査機関に分析を依頼、検査の結果12月3日にアフラトキシンB10.04ppmが検出された。加工メーカーはカビを取り除いた原料米で製品を製造したが、出荷はしていなかった。また、他の23tからアフラトキシンB1は検出されていないという。カビがどの時点で発生したかは特定できていない。
アフラトキシンB1が発見された1tを含むタイ産うるち破砕米3508tは、19年度輸入分として今年6月23日に同一船で日本に到着。民間倉庫に政府が在庫保管しているが、いずれからもアフラトキシンB1は検出されていない。また、24tのほかに63tが加工食品原材料用として出荷されているが、いずれからもカビは発見されておらず、その製品からも、アフラトキシンB1は検出されなかったという。
政府米のカビは19年度44件(うち輸入米41件)、20年度51件(同47件、12月18日まで)発見されている。
これまでのカビの有無の政府の確認は、袋の外見の目視によるもの。農水省は今後は引き渡し前に袋を開け詰め替えるなど、カビの目視確認を徹底して行くとしている。また、今後政府米のカビに関する食品安全上の諸問題を専門的、科学的見地から検討するため、専門家による「科学委員会」を年明け早々に設置すると19日に発表した。