東北地方では稲発酵粗飼料の生産面積が拡大しており、食用米以上の低コスト・省力生産のため直播栽培の導入が期待されている。
農研機構の東北農業研究センターはこのほど、飼料イネ用品種「べこごのみ」は、東北中北部では5月下旬に播種することにより、酸素供給材を用いずに無コーティング湛水土中直播ができることが明らかになったと発表した。
湛水直播では通常、出芽苗立促進のために酸素供給材をコーティングした種子が使用されているが、資材費や労力低減のためコーティング過程を省略する無コーティング直播方法が考案され、さらに普及対象地域に適した品種や播種期の確定が求められていた。
東北農業研究センターでは、酸素供給材をコーティングしない「べこごのみ」の種子を、播種後10日間の日平均気温が15℃に達する5月下旬に播種することで、覆土下でも十分な苗立を確保することができたという。また、食用品種の収穫前に黄熟期を迎えるので、収穫作業が主食用と競合しないことも確認されたという。
同センターは、この研究成果を利用して東北中北部での飼料イネ栽培の普及拡大をはかることで「いっそうの生産コストや労力の軽減が期待される」としている。