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牛乳の値上げはなぜ必要なのか セミナー開き理解訴え

−中央酪農会議(2/19)

3月から飲用向け乳価の取引価格は1kgあたり10円値上げされるが、値上げへの理解を得ようと中央酪農会議は2月19日、「何故、いま、牛乳が値上げされるのか?」セミナーを開いた。 中酪の門谷廣茂専務理事は「経済危機や景気低迷などで多くの物資が値下げするなか、なぜ牛乳だけが値上げするのか、どうして値上げが必要なのかの理解を得たい」と訴えた。 酪農経営は飼料や原油の価格高騰によって過去3年間は実質的に赤字が続いている状況だ。特に都府県ではここ2年ほどは離農率が年間を通して8%前後で推移しており、酪農業者の減少に歯止めがかからない。(図1) また酪農経営の悪化にともなって、乳用雌牛の後継牛をなかなか導入...

3月から飲用向け乳価の取引価格は1kgあたり10円値上げされるが、値上げへの理解を得ようと中央酪農会議は2月19日、「何故、いま、牛乳が値上げされるのか?」セミナーを開いた。
中酪の門谷廣茂専務理事は「経済危機や景気低迷などで多くの物資が値下げするなか、なぜ牛乳だけが値上げするのか、どうして値上げが必要なのかの理解を得たい」と訴えた。
酪農経営は飼料や原油の価格高騰によって過去3年間は実質的に赤字が続いている状況だ。特に都府県ではここ2年ほどは離農率が年間を通して8%前後で推移しており、酪農業者の減少に歯止めがかからない。(図1
また酪農経営の悪化にともなって、乳用雌牛の後継牛をなかなか導入できないのが現状だ。若い牛が少なくなれば、将来的な生乳生産量は減り、牛乳の安定供給も困難になる。酪農経営を速やかに立て直し、乳用牛の更新、補充を回復するのが大きな課題だ。1年間に都府県全体で導入された18か月齢以上の乳用雌牛頭数は、平成18年は5万2774頭だったが20年は3万9375頭へと減少。減少分を換算すると年間生産額で67億円、生産量で10万6000トンの規模縮小となる。(図2
原油・穀物価格は一時期に比べると低下したものの以前高水準で、3月から10円値上げしたとしても酪農経営の急激な回復は困難だ。各指定団体は21年度の生乳取引価格についても、3月に値上げされる水準で据え置きするように乳業者と交渉している。 (関連記事

図1
図1
図2
図2

◆牛乳200mlで食費が1割削減

「牛乳=国産100%を訴えてくべき」と話す西原氏
「牛乳=国産100%を訴えてくべき」
と話す西原氏

セミナーでは昨年12月に行った「食品および牛乳に関する消費者緊急調査」の結果分析や、フードコーディネーターの小山浩子氏による「牛乳の栄養コストに関する試算結果」も発表した。
消費者調査は昨年12月下旬、全国の既婚女性500人を対象に実施。86%の人が「酪農家を応援したい」などの理由で、値上げを容認すると回答した。発表したマーケティング・戦略プランナーの西原義文氏は、「主婦の普段の買い物での最優先事項は安全、2番目が値段という結果が出た。生産者への応援意識を追い風にして、牛乳は国産100%だと徹底して訴えていくことが必要だ」と述べた。
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小山氏は高栄養価の牛乳を食事の中に取り込むことで、食費を節約できるという試算を発表。同量の栄養価を得るために牛乳200mlを飲む場合では1食あたり472円だが、飲まない場合は519円で、差額は47円。牛乳200mlを飲むだけで、1食あたり1割の食費節減になる。「消費者の生活防衛意識が強まるなか、牛乳を上手に取り入れた食生活が効果的だ」と述べた。

(2009.02.20)