JA全中は3月6日、東京・千代田区の東京會舘で第55回通常総会を開催し、▽24回JA全国大会決議事項の実践最終年度なのでJAグループ全体の進捗管理と第25回大会へ向けた「JAグループ全体の進むべき方向性の提起」など基本課題、食料・農業・農村対策やJA改革など重要な取組み事項を柱とする21年度事業計画と収支予算などの議案を全会一致で承認した。
開会に際して茂木守会長は概ね次のように挨拶した。
「100年に一度という金融経済危機にみまわれ、地域経済や国民のくらしに大きな影響がでてきている。その一方で世界的な食料の逼迫基調や食料自給率の問題などがクローズアップされ、国民の食に対する危機感はこれまでになく高まってきている。政府も水田のフル活用など食料自給率向上を目指した政策を示したり、農地制度の抜本的な改革に向けた検討を進め先月、農地関連法案が閣議決定された。またWTO交渉は結局、閣僚会議は開催されなかったが、早期妥結望む声も大きくなってきており、日本農業にとって厳しい状況が依然として続いている」。
さらに「新基本計画の策定に向けた議論が始まった。これは農政の大転換であり、いままで農業と農村地域社会を支えてきたJAグループの力量が試されることにほかならない」との情勢認識を示し、この秋に開催される第25回JA全国大会が「こうした大転換期にふさわしい大会となるよう、そしてJAグループのもてる力を内外に示すものとなるよう」議案の検討を進めていると語った。
そして地域農業を維持・発展させていくために、農地の利用調整の取組みを強化するとともに、地域実態に即した多様な担い手づくりを進めて地域農業を振興し、消費者・国民の熱い期待に応えながら国産農畜産物の安定供給に取り組むことはJAグループの最大の仕事であると地域農業振興の重要性を強調した。
米の生産調整問題については、米の需給と価格の安定をはかり農家の所得を確保するためには「今後も計画生産の取組みは、必要不可欠である」と語った。
またWTO交渉については、世界的に食料が逼迫基調にある中で、現在の交渉は「飢餓や貧困の解消という本来の目的がないがしろにされているのではないかと懸念せざるをえない」とし、「経済格差問題や地球環境問題などを十分踏まえ、新たな価値観に基づく農作物貿易ルールを求める運動を引き続き展開していかなければならない」とした。
その後、近藤基彦農水副大臣、太田豊秋全国農業会議所会長、山下俊史日本生協連会長、山田俊男参議院議員が来賓挨拶を行った。また、午後の開会前に上野農林中金理事長が資本増強決定までの経過と自身の退任の報告を行った。
そして総会は最後に「食料・農業・農村基本計画、WTO農業交渉、21年産米の計画生産に関する特別決議」(別掲)を採択して閉会した。
「食料・農業・農村基本計画、WTO農業交渉、21年産米の計画生産に関する特別決議」 3月6日のJA全中総会で採択された特別決議の要旨は次の通り。 |