3月5日に開催された食料・農業・農村政策審議会畜産部会は政策価格の据え置きを答申したが、当日の審議会では畜産・酪農経営が厳しく赤字も累積、設備投資や乳牛の更新もできないなど、生産基盤の危機を委員の間で共有したという。
自給率向上については食料問題に関心が高まっており、国家戦略として予算を確保すべきだという意見や、政策価格が据え置いたがこれだけでは不十分であり、現場の疲弊を解決するための関連対策が大切、国産農畜産物の消費拡大をという意見があった。また、配合飼料価格は一時の高騰より引き下がり、また、乳価は3月から再引き上げされているが「経営への影響にはタイムラグがあることについての理解醸成が必要だ」との指摘もあった。
鈴木部会長(写真)によると「飼料が急騰した昨年と同様、日本の畜産をどう健全な方向にどうもっていくのかという議論に終始。政策がどう役立っているか分かりやすく説明を、という消費者委員の意見はあったが、保護しすぎではないかといった声はまったくなかった」と話した。
また、WTO交渉の動向をふまえて、再生産を保証するような直接支払い制度の充実も中長期的な課題になるのではないかとの議論もされた。
鈴木部会長はとくに酪農の現状について「都府県の廃業率が高い。北海道が増産しても全体として乳量が上向くかどうか。不足することがないか懸念している」と話し、「政策と業界の努力で生産基盤を支えることが大事」と指摘、「生産現場が発展してこその乳業界。支え合うという姿勢がなければ」と乳価引き上げなど適切な対応も必要だと語った。