大会への意気込みを語るパオロ事務局長(右から2人め)ら |
ファストフードやファストライフに対抗し、毎日の「食」をゆっくりと楽しむことで人生を豊かにし、伝統文化や地域経済の発展につなげようという「スローフード」。日本でもこの取り組みを促進しようとスローフードジャパンは、10月23〜25日の3日間パシフィコ横浜で「スローフードニッポン2009」を開催すると発表した。
昨年までは「スローフードフェア」として日本スローフード協会が主催していたが、今年は本部(スローフードインターナショナル)も主催者に名を連ね、国際的なイベントとなる。イタリア以外で国際的イベントを開催するのは初めてで、今後もイタリアと日本で交互に開催していく予定。
同イベントは“食べる・買う・学ぶ”をテーマに、日本各地の地域食を応援するのが目標。3日間で5万人の来場を見込んでおり、現在出展者を募集している。今後は出展企業や店舗を中心にして、さまざまな形で「スローフードニッポン2009」を盛り上げていく予定だ。
◆「ポテトチップスは6000km走る」
会見にはイタリア本部から、パオロ・ディ・クローチェ事務局長も来日。ポテトチップスを例にとり、ファストフードへの強い反対とスローフードの理念を解説した。
「原料のジャガイモをドイツで収穫し、スイスでカットし、またドイツに持ち帰って揚げ、イタリアでパッキングする。実にEU圏内だけで6000kmも移動してポテトチップスは作られている。
値段は100g1ユーロ(約130円)。市場でジャガイモを買えば1kg1ユーロなので、値段は10倍だ。それではポテトチップスは、生鮮ジャガイモの10倍おいしいのか? 答えはノーだ。しかも環境に悪影響を与え、健康にも悪い。
食文化の発達しているイタリアでもこのような現状がある。同じく優れた食文化を持つ日本でも、これらのせいで素晴らしい食文化が失われつつある。この現状を変えるために、スローフードの理念を多くの人に伝えたい。
スローフードは1986年にイタリアで発足し、現在世界150か国に8万人以上の会員がいる。祭典が生産者と消費者をつなぐ架け橋になり、人々の生活を変えるきっかけになるようにしたい」。