木田滋樹
日本施設園芸協会会長 |
農水省と農畜産業振興機構は3月18日、加工・業務用への国産野菜の利用拡大を推進しようと「加工・業務用野菜生産拡大シンポジウム」を開いた。
日本施設園芸協会の木田滋樹会長は「4年前、加工・業務用野菜なんて面倒くさいし、生鮮で十分売れるからいいというのが産地の主な意見だった。生鮮に比 べて不利な点が目立っていた加工・業務用だが、生鮮よりも反収増とコスト削減が可能で所得向上につながると繰り返し訴えてきたことで、徐々にのびてきた」 と、ここ数年の変化を述べながら、「いまだに流通システムは生鮮中心。これからも法整備やインフラ整備などを加工・業務用にあわせるようはたらきかけてい きたい」と、課題を掲げた。
ベジポート有限責任事業組合の岡本弘正氏が「LLP(有限責任事業組合)を活用した加工・業務用野菜の供給の取組」をテーマに講演したほか、▽「産地と実需者の信頼性構築の取組事例」(丸西産業、山下大輔社長)▽「産地と実需者が連携しての製品開発の事例」(茨城中央園芸農業協同組合、藤田正三専務)▽「契約農家の利益を確保する契約取引の事例」(有田農産、谷川洋造社長)などの発表があった。
◆野菜全体の7割が契約取引 全農いばらきの取組み
農林水産大臣賞のJAみい・倉敷青果荷受組合蔬菜部・倉敷青果荷受組合洗浄野菜プロジェクト、全農いばらき県西レタス契約取引グループ
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シンポジウムでは先日発表された、第2回「国産野菜の生産・利用拡大優良事業者」の表彰式も行った。
農林水産大臣賞はJAみい・倉敷青果荷受組合蔬菜部・倉敷青果荷受組合洗浄野菜プロジェクト、全農いばらき県西レタス契約取引グループの2点。
前者はJAみいが倉敷荷受組合を通じて、洗浄野菜プロジェクトにカット野菜を供給する取組み。平成19年度は出荷数量257トン、販売金額6838万円あった。
JAみいでは加工・業務用野菜の出荷割合を年々増加させ、ホウレンソウでは全出荷量の半分以上が加工・業務用だ。荷受組合がJAみいと同プロジェクトの間に入り、需給調整や出荷促進などに力をいれていることも評価された。
全農いばらきは10年間の長期契約でMCプロデュース(株)を通じてサラダクラブ(株)にレタスを販売する取組み。全農いばらき県西VFステーションで取り扱うレタスの8割が契約取引で、野菜全体でも7割になる。
VFステーションは実需者の注文に応じて新規生産者や産地の開拓をし、JAのOB職員なども動員し巡回指導を行っている。ケース納品から重量納品への切替えや、コンテナを活用したコスト削減対策などが評価された。