(独)農業環境技術研究所は、地球温暖化などの気候変動がイネ生産に及ぼす影響を解析するためのデータベースを開発、3月31日からウェブサイトで公開する。
これまでの研究では、気候変動がイネの収量や品質に与える影響を分析するためには、水田水温や穂温など一般の気象観測では得られない水田の「微気象要素」が必要なことが分かったきた。
農環研が開発したのは「モデル結合型作物気象データベース(MeteoCrop DB)。1980年以降、気象庁が観測してきたアメダス約850地点の気象データ(気温、風速、降水量、日照時間)に加えて、同地点の水田水温推計値を掲 載したほか、地力保全基本調査による土壌データ(日本土壌協会)も付加した。
また、同データベースには「イネ生育モデル」と「水田物理環境モデル」が組み込まれており、主要品種(コシヒカリ)の生育ステージや生育期間中の水田水温の推移、出穂・開花期における穂温の日変化なども推定できる。
このデータベースから得られる情報と、既存の作物データベースや栽培試験データなどと組み合わせて解析することで、イネ収量の将来予測、品質低下のリスク評価、気候変動に対する適応技術開発などに貢献することが期待される。
ウェブサイトはhttp://MeteoCrop.dc.affrc.go.jp。(3月31日より)