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3年後は植物工場150ヶ所に!植物工場フォーラム

-農水省 (4/6)

この日植物工場に関心を寄せる大勢の人で、会場となった農水省7階講堂を埋め尽くした “植物工場”に今、注目が高まっている。今はまだ親しみがない言葉ではあるが、そこで生産された農産物が消費者の食卓や口へ当たり前に届く日はそう遠くはなさそうだ。 4月6日、「植物工場フォーラム」が農水省と(社)日本施設園芸協会との共催で開かれ、農水省による報告や、千葉大准教授の丸尾氏、(株)みらい代表取締役の嶋村氏、(株)大戸屋の代表取締役社長三森氏、(農)布引施設園芸組合代表理事の倉本氏の4人によるパネルディスカッションなどが行われた。 ◆植物工場とはなにか 植物工場とは閉鎖環境で高度な環...

この日植物工場に関心を寄せる大勢の人で、会場となった農水省7階講堂を埋め尽くした
この日植物工場に関心を寄せる大勢の人で、会場となった農水省7階講堂を埋め尽くした

“植物工場”に今、注目が高まっている。今はまだ親しみがない言葉ではあるが、そこで生産された農産物が消費者の食卓や口へ当たり前に届く日はそう遠くはなさそうだ。
4月6日、「植物工場フォーラム」が農水省と(社)日本施設園芸協会との共催で開かれ、農水省による報告や、千葉大准教授の丸尾氏、(株)みらい代表取締役の嶋村氏、(株)大戸屋の代表取締役社長三森氏、(農)布引施設園芸組合代表理事の倉本氏の4人によるパネルディスカッションなどが行われた。

◆植物工場とはなにか

植物工場とは閉鎖環境で高度な環境コントロールをすることで作物の計画的な生産が可能になる栽培施設のこと。
セールスポイントとして生産面では生育期間が短く早いサイクルで生産できる、完全な無菌状態が害虫の発生を阻止し無農薬栽培が可能、台風など気候の影響を受けず安定した供給ができる、など。
調理面では外葉を捨てるなど食材のロスの軽減、水洗い不要のため調理の手間が軽減、人工光により栄養成分が増加、他に農地以外のどんな場所にも施設の立地が可能、などがあげられる。

◆外食産業の期待 安全性と栄養価

「栄養価の高い食事提供ができることが最大の魅力」と語ったのは、今やアジアへも進出し日本各地に242店舗を構える定食チェーン「大戸屋」の三森社長。植物工場を利用した事業を今後さらに進めていく方向だ。「日常食の提供を売りにしているからこそ衛生面だけでなく栄養面のニーズにも応えたい」と植物工場のメリットを述べた。

◆「これからは植物と対話する時代」

経営面でのメリットを強調したのはこもろ布引いちご園を経営する倉本氏。イチゴの収穫量を来園客数に合わせて調節できる「ジャストインタイム」生産に取り組んでいる。「これからは植物と対話する時代」と述べ、顧客のニーズに合わせて生産でき、計画生産によって無駄の軽減にもつながる、と植物工場の利点について語った。

◆今後の期待

今後期待できる効果として三森氏らが指摘するように、顧客のニーズにそのまま適応した生産ができることや、生産者の負担軽減とあわせ、周年栽培可能なことから雇用の拡大につながることなどがあげられる。
農水省と経済産業省によるワーキンググループが掲げる今後3年間の目標は現在50ある植物工場を150に増やし、野菜重量あたりにかかる生産コストを3割カットすることだ。課題の要は設置・運営コストの削減、葉菜類中心の生産可能品目を果菜類、根菜類へも増大させること、技術面、経営面に対応できる人材育成の強化。
各産業技術を集約させた植物工場の発展が日本の農業の再発展に貢献できるとし、世界と競争できるレベルに日本の農業を再生したいとしている。
また、農水省は食料安全保障の観点からも植物工場の領域を広めることに意義を見出している。今年は「基本計画」の見直しに向けた検討が行われており、これも見込んで政府は植物工場の支援に力を入れていく考えだ。
このフォーラムで農水省食料安全保障課の末松課長は、今後政府がどう支援していくかが日本の食糧安全保障強化の鍵ともなるとして、さらなる支援策の推進を図っていく方針を示した。

(2009.04.08)