課題は第1に国際基準との調和を挙げた。欧米を中心により安全な農薬を求める動きが強まって経済協力開発機構(OECD)の農薬作業部会では農薬登録やリスク削減に関する国際調和の活動が急進展するなど、日本の農薬行政にも影響を及ぼす状況となってきたことに対応した。
また先進国では新開発農薬の審査・登録を迅速化する取り組みが進んでいるとした。
さらに1日に食べても健康に影響が出ない許容量(急性参照量)を評価に加える動きや新たなテストガイドラインの検討が急速に進んでいるとし、日本でもこのような農薬登録の促進が重要とした。
とくに国際的な政府間機関であるコーデックス委員会やOECDなどが策定する基準や要求試験項目に関する動向を注視し、導入に当たっては日本での優先度を明確にした工程表を示して段階的に進めることが肝要であると提起した。
また新しい農薬を審査・登録するにはすべてを単独で評価するのでなく、各国とのジョイントによって評価に要する負担を軽減すべきであるとした。
第2の課題は法的規制について再評価制度の導入などを挙げた。
現在は登録の有効期間を3年とし、農薬製剤ごとに再登録の審査をしているが、今後は中長期的視点で、有効成分ごとに再評価を行う制度の導入を検討する必要があるとした。
実施に当たっては数百種類に及ぶ農薬を適切なタイミングで効率的に再評価するために適切な原則に基づいて優先順位をつけることが1つのカギとなるとも提起した。
その他の課題としては、飼料米や飼料作物にかかる農薬登録の推進がある。
残留基準の設定や稲への農薬登録は食用だけを考慮して行われているため、今後は飼料用作物についての農薬登録を促進するために必要なデータ整備を推進すべきであると指摘した。
平成15年の農薬取締法改正の際に施行後5年をめどに所要の見直しを行うとの規定が設けられ、これを基に今回の検討が行われる。