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農林年金が決算を公表

 農林年金(農林漁業団体役職員共済組合)はこのほど20年度決算(速報)を公表した。

◆不足財源額は減少

 農林年金は厚生年金との統合後、国民年金、厚生年金に上乗せした3階部分の特例年金を給付している。
 原資は全額団体負担の特例業務負担金と積立金。
 20年度の特例年金の支出は受給者が1万1939人増えたことから、前年度より5億8600万円多い467億4400万円となった。
 一方、20年度の特例業務負担金は昨年10月から負担率を引き上げ、前年度にくらべ28億8800万円増えて255億4700万円となった。
 積立金の運用は国債、金融債など安全な債権を中心として行っていることから、金融危機の影響は受けず、計画利回り1.339%を上回る1.482%となった。債権の評価益は99億4000万円。運用収入は53億2600万円となった。
 運用収入や国庫補助金を含めても特例年金の給付額に不足するため約157億円は積立金から取り崩している。 また、将来の特例年金の支払いに必要な責任準備金は4208億円で年金資産額が3570億円であることから不足準備金として638億円を計上した。農林年金は平成17年末には2900億円の財源不足が見込まれていたが、19年度に虎ノ門パストラルを売却したことから不足額が640億円程度に減少した。これを不足責任準備金としたもの。
 
◆一時金払い制度の導入へ

 特例年金は厚生年金との統合の際に決まった上乗せ給付だが、平成14年の統合までの加入期間しか対象とならないため、新規の受給者ほど年金額が少なくなる。
 このため終身受給ではなく、総額を一括して前倒しで受給する一時金払い制度が選択できないかという声が出ていた。農林年金では昨年12月から今年2月にかけて組織協議を行い、3月に制度導入を組織決定した。
 現在、政令改正を農林水産省に要請して内閣法制局で審査が行われている。導入見込みは来年4月。請求できるのは、統合後に特例年金の受給権者になった人と今後、受給権者になる人。一時金の額は将来受け取る農林年金の現価相当額。
 一度、一時金払いを選択すると年金払いに変更することはできないが、まとまった額が支給されるため、ローン返済、住宅リフォーム、マイカー購入、旅行など多様なニーズに応えることができるようになるほか、農林年金の事務コストの軽減につながるという。

(2009.06.29)