◆大規模層ほど確実な実施求める
調査は5月25日から6月19日にかけて行った。
8075人が回答した農業者への調査では、「現在のまま続ければよい」は25.4%、「生産調整をやめるべき」は13.1%だった。生産調整を見直すべきという回答では「生産調整を強化し確実に行われるように見直すべき」が20.5%、「農家の自主性や経営の自由度が高まるように見直すべき」は38.7%だった。 ただし、作付規模別に集計すると、10ha以上層では生産調整を強化する方向で見直すべきとの回答が33.8%ともっとも多い。経営の自由度が高まる方向で見直すべきとの回答は規模が小さいほど多くなっており、1ha未満では41.9%だった。
地域別集計では生産調整強化を、との回答は北海道(40.6%)、東北(27.2%)、北陸(30.1%)、九州・沖縄(22.5%)で割合が高い。一方、経営の自由度が高まるような見直しを、との回答は関東(42.7%)、東海(40.0%)、近畿(43.5%)、中国(42.3%)、四国(49.7%)で割合が高い。
生産調整を維持すべき理由では「米価の安定のため」との回答が
80%(複数回答)と圧倒的に多く、米主産地や大規模稲作経営層では、地域農業や自らの経営安定のために、確実に生産調整が実施されることを望んでいることが示された。
◆実施者に対する施策充実を
生産調整を見直すべきと回答した人に見直すべきポイントについて聞いたところ、「主食用米の価格が下落したときの経営安定対策」(51.7%)、「主食用米以外の作物を作ったときの助成金の内容」(44.4%)が高かった。
ただ、生産調整の強化を求める人では「未達成者・地域に対するペナルティ」が63.0%ともっとも多かった。一方、経営の自由度が高まるような見直しを求める人では「目標配分のやり方」(21.6%)、「政府備蓄米の買入れのやり方」(20.5%)にも関心が示されている。
税金の使い方として最も重視すべき施策については「主食用米の価格が下落したときの経営安定対策」が57.8%と約6割を占めた。このうち施策の対象については「生産調整を達成している農家」が38.3%、「すべての農家」が14.0%、「米依存度の高い規模の大きな農家」が5.5%だった。
◆生産調整だけでは展望描けず
都道府県・市町村からの回答では、農家の自主性や経営の自由度が高まるように見直すべきがともに50%を超えた。
一方、消費者からの回答では「今後も生産調整は必要である」が32.8%、「麦・大豆などの自給率向上対策は別途に講じたうえで生産調整はやめるべき」が35.4%で、「生産調整はやめるべきである(何も必要ない)」は4.4%にとどまった。
今回のアンケートでは今後の生産調整施策に対する4つの考え方ごとに「10年後の地域の水田農業はどうなっていると思うか」を聞いた。
回答は「必要な数の担い手が育ちその経営が安定・発展している」、「十分な数の担い手も育たずその経営も安定・発展していない」、「わからない」から選んでもらった。
結果は、農業者と市町村では、生産調整について維持・強化、あるいは緩和・廃止のどの回答層でも「わからない」と無回答でほぼ半数を占めた。生産調整問題だけでは、農業者も市町村も地域農業の展望は描けないと考えていることが示されたといえそうだ。