学習会では「コメの新たな需要『米粉拡大への取り組みと課題』」をテーマに、3人の講師が講演を行った。
米粉活用への取り組みの現状や課題などを話した農水省総合食料局計画課課長補佐の武田裕紀氏は「今日紹介した米粉はすべて精米から作られているが、今後玄米から作った米粉が登場することを期待したい」「米の産地だけにとどまらず、県を飛び越えた取り組みに発展していけたら」と思いを語った。
◆米粉のバラエティ化に貢献
実際に米粉の製粉を行っている群馬製粉の山口慶一社長が米粉開発にいたる経緯や米粉利用の期待を語り参加者の興味を惹いた。
80年の歴史を持つ群馬製粉の3代目である社長は、主要顧客である町の和菓子屋の数が年々減少していくことから、洋菓子にも使える米粉の研究を始めた。 3年かかって完成した「リ・ファリーヌ」は今や全国に浸透し台湾へ輸出されるまでになっている。その後5年の歳月をかけて作り上げたのが米粉でできた麺「J麺」だ。
米粉麺最大のメリットは小麦アレルギーの人でも食べることができること。社長には「とにかくおいしいものを作りたい」という強い信念がある。「いくら自給率向上とうたっても、おいしくないと普及しない。小麦では絶対できないおいしいものができた自信がある」と業者としての誇りが感じられた。
◆新たな食のシーンをつくる
昨年から米粉パンの店頭販売を開始したローソンのベーカリーデザート部部長の柳田欣浩氏は「小麦の代替と捉えるとコスト競争になる。そうではなく新たな食のシーンの提案として付加価値をつけ、新しい市場を作っていくことを念頭においた取り組みにしたい」と話した。
発売して感じたのは消費者の安全・安心に対する強い意識だったといい、「国産米粉」という表示に対して産地はどこかという問いあわせがあった。細かい情報の表示や米粉配合量の違いを示す表示についての取り決めなど、米粉商品普及にあたっての課題もあると話した。
今年はJA北越後管内の水田100haを米粉パン用米の栽培に確保し、11月には新米の米粉パンが店頭にお目見えする予定だ。
(写真)上:米粉拡大への取り組みと課題を学習
中:群馬製粉 山口慶一社長
下:ローソン ベーカリーデザート部 柳田欣浩部長