農林水産省によると平成20/21年(20年7月から21年6月)の主食用米需要実績は、824万トンとなった。昨年の実績は854万トンで約30万トンと大幅な減少だ。景気低迷のなかで米の家庭消費は堅調に推移したが、外食での消費量減少が影響した。
8/9年の需要実績は約944万トンだった。年ごとに増減はあるものの、この年がピーク。12年間で120万トンも需要が減少したことになる。
基本指針ではこの間の需要実績をもとに、21/22年の需要見通しを出すことになっているが、これは821万トンとされた。
米の需要減によって民間流通在庫が積み上がっている。
◆民間在庫が増える
昨年6月末の在庫量は161万トン。内訳は農家保有分(生産段階)が48万トン、JA系統など出荷段階が82万トン、卸・小売など販売段階が31万トンだった。政府保有米は99万トン。
これに対して今年6月末の在庫量は212万トンに積み上がった。内訳は生産段階50万トン、出荷段階127万トン、販売段階35万トン。政府保有米は昨年より13万トン少ない86万トンだ。
生産段階、販売段階では増えたといっても微増といってよく、出荷段階での45万トンの大幅増が民間在庫を膨らませた。この統計はJA、全農などの倉庫にある在庫米の報告をもとに集計されている。したがって、販売契約済み、所有権移転済みの米は本来は卸の在庫となる。いずれにしても需要減から流通段階で在庫が増えた。 一方、政府保有米は100万トン程度を適正水準としている。31日の食糧部会では米価低迷が生産現場に打撃を与えかねないとして、早急に政府買い入れを行って適正水準にすべきとの意見も出たが、農水省は今後の作柄等の推移もあるとして今のところ消極的だ。