◆カロリーベースでは1.1%上昇も、生産額ベースでは1.0%減少
国民1人の1日あたりの供給熱量は、07年度比▲78 kcalと大幅に減り2473kcalで、そのうち国産熱量は同▲4kcal の1012 kcalとなり、カロリーベースでの食料自給率は40.9%だった。07年度は39.8%だったので、1.1%回復した。
国産の大豆生産量が15%のびて+3.5万t、さとうきび生産量が7%のびて+9.8万tと好調に伸びた一方、チーズ輸入量が▲18%の▲4万t、大豆輸入量も▲11%の▲45万tと、国際価格の高騰などの影響で減少したのが大きな要因だ。
ただし生産額ベースでは、国内消費仕向額が同+1896億円の15兆2713億円と増加したのに対し、国内生産額は同▲207億円の9兆9846億円で65.4%。昨年度の66.4%に比べて、1%落ち込んだ。
主要果実のミカン、リンゴがそれぞれ大きく落ち込んだほか、穀物の国際価格高騰の影響をスムーズに国内製品に価格転嫁できなかったことが要因。
◆コメ消費量初めて60kg台を下回る
カロリーベースでの食料自給率は1.1%回復したものの、重点的にコメの消費拡大を呼びかけてきたにもかかわらず、コメの1人あたり年間消費量は前年度比▲2.4kgと激減し、59.0kgと初めて60kg台を割った。
その要因の一つとして、外食市場の不況が指摘された。
09年1-3期の外食市場は前年同期比で、すし屋が▲18%、和食店が▲13%と、コメを中心とする外食店が大きく売り上げを落としている。一方、コメの家庭内消費はプラスに転じているという概算が出ている。
コメの消費量減と並び大きな点は、国民1人あたりの1日供給熱量が激減したことだ。供給熱量は1995年ごろをピークに年々ゆるやかに減少していたが、1年で80 kcal近くも落ち込んだのは極めて異例。2400 kcal台というのは、昭和50年の2518 kcalよりも低い数字だ。
熱量の大きな減少の要因としては、不況による食費の節約や、少子高齢化などが指摘されている。
農水省は今回の数字を「食料自給率が、海外相場や価格動向などに左右されることが如実に現れた結果になった。大豆、さとうきび増産など、ポジティブな要因もあるが、まだまだ満足のいく結果ではない。今後も食料生産の増大をめざしていく」(食料安全保障課)と評価している。