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日米FTAは日本農業を崩壊させる 断固阻止緊急国民集会開く

 JAグループをはじめとする農業団体と漁協、森林組合など11団体で構成する実行委員主催による「日米FTA断固阻止緊急国民集会」が8月12日午前、東京・日比谷野外音楽堂で開かれた。全国から3000人が参加、日本の食と地域経済を守るため「国民運動として日米FTA断固阻止に向けて運動していく」ことを宣言した。

日米FTA断固阻止緊急国民集会◆吹き飛ばされる努力

茂木守JA全中会長 日比谷野外音楽堂を埋め尽くした参加者からは壇上でのあいさつや決意表明のたびに「そうだ! そのとおり!」などの声が飛び交い拍手が起きた。
 集会実行委員会委員長の茂木守JA全中会長は、8年におよぶWTO交渉のなかで、農業の多面的機能と持続的な発展がいかに国民生活にとって大事か訴えてきた運動の努力が「日米FTAのたった5文字で吹き飛ばされようとしている」と声を荒げ、民主党がマニフェストを修正したことについては「締結を交渉促進にしようが、日米FTA(という言葉)が残っている限り懸念はふっ拭できない」と強調した。さらに米国にとって関心品目である農産物を「(関税撤廃の)例外扱いにするはずはない。国内農業に影響を与えずに締結できないことは明らか。日米FTAは交渉に入ることも絶対に認めるわけにはいかない」と訴え「自給率向上を求める国民を裏切るものと言わざるを得ない。行き過ぎた市場原理を見直す世論が高まっているなか、党派を超えた国民運動を展開していくことが重要。断固阻止に向け全力で取り組む」と決意を新たにした。

(写真)茂木守JA全中会長

 

◆自給率向上は政治の責任

宮城県生協連合会 齋藤昭子会長理事 宮城県生協連合会の齋藤昭子会長理事は連帯のあいさつで「大消費地、東京で集会が開かれたことに意義がある。全国に声が伝わっていってほしい」と述べ、約40年にわたる産直運動は「地域の産業と暮らしを守ろうという信頼に基づく協同の取り組み。輸入に過度依存した食生活は安全・安心を脅かす。自給率向上は国是、政治の責任だと思っている。食の安心と自給率向上を共通の使命としてともに歩んでいく」と訴えた。
 服部信司東洋大名誉教授は「突如として日米FTAが出てきたがこれまでの経済外交に服部信司東洋大名誉教授総括は一言もない。多様な農業共存、多面的機能を認め米など重要品目は関税撤廃、削減の例外とするが基本。日米FTAを持ち出せば米国が農産物自由化を要求するのは火を見るよりも明らかだ」と批判した。
 集会では宮原邦之・全漁連専務が大会宣言を読み上げ拍手で採択。太田豊秋・全国農業会議所会長の「日米FTA粉砕!」のかけ声で3000人がガンバローを三唱した。
 大会宣言では「日米FTAが締結されるような事態になれば関税ゼロで大量の農林水産物がわが国の市場になだれ込んでくることになる。わが国農林水産業に甚大な被害を及ぼし、食料自給率の向上や食の安全・安心を望む国民を裏切るものであり断じて認めることはできない」としている。

 

(写真)上:宮城県生協連合会 齋藤昭子会長理事
     下:服部信司東洋大名誉教授

(2009.08.12)