その後に作った食用イネの玄米中のカドミウム濃度もまた40〜50%低減した。
カドミウムを吸収させたイネの処理費用も「モミとわらの分別収穫法」と「現地乾燥法」を組み合わせることで、より抑制することに成功した。
この技術は農業用水の必要量が少なく、既存の農業機械で対応できるため低コストで広範囲の実施が可能だという。
厚労省はコメに含まれるカドミウム濃度の国内基準値を厳しくすることを検討中だ。
しかし主要な対策である客土はコストが高く、大量の非汚染土壌を必要とすることから大面積での実施が困難であるため新たな技術が望まれていた。
植物を使った浄化技術が有望とされたが、適当な野生種の栽培が困難なため、結局、栽培技術の確立しているイネそのものに着目。インディカ米の中からカドミウムをよく吸収する品種を発見した。 栽培試験では移植後30日(温暖地の場合)間は湛水条件で栽培しその後は落水状態を続ける「早期落水栽培法」がイネの収量を低下させずにカドミウム吸収量を最も高めることなどを確かめた。
収穫は最初はモミだけとし、その後は天日で乾燥した稲わらをロール状に丸めて収穫する分別を採用した。
さらにロールの上部を防水シートで覆って水田に数ヵ月置く現場乾燥法で収穫物の処理費用を抑制した。
収穫物の焼却はダイオキシン類対策をした炉で試験したところ、煙突からの排ガス中のカドミウム濃度は測定可能な濃度を下回っていた。
この技術が実用化されるようになると、植物を使った技術の実用化では世界で初めての例となる。
開発は農環研と4県の研究センター、三菱化学の共同チームで行われた。