◆低温と日照不足
8月15日現在の米の生育状況は、同時点で出穂面積が平年ベースで8割以上を占める早場地帯19道県の「作柄」概況と、それ以外の早場地帯27都府県の「生育」状況が発表される。 早場地帯は全国の作付け面積のうち66%程度を占める。
調査の結果、今後の気象が平年並みに推移することを前提に「平年並み」ないし「やや不良」と見込んだ。
これは北海道で、7月中・下旬の低温・日照不足による不稔の発生の影響が見込まれたほか、その他の県でも5月下旬から6月上旬かけて、また、7月以降も日照不足だったことから、全体として分げつが少なく、全もみ数が「平年並み」ないし「やや少ない」という見込みになったため。
「平年並み」(作況指数99〜101)は、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、新潟、滋賀の10道県。
「やや不良」(作況指数95〜98)は、北海道、千葉、富山、石川、福井、長野、三重、鳥取、島根の9県となっている。
◆病害虫に注意必要
一方、遅場地帯(第二期の田植えが終了していない沖縄を除く27都府県)でも、7月以降が日照不足傾向で推移したことから分げつが抑制され、生育の良否は「平年並み」ないし「やや不良」と見込まれた。
「平年並み」は群馬、埼玉、東京、神奈川、大阪、兵庫、奈良、和歌山、岡山、広島、徳島、香川、高知、宮崎、鹿児島の15都府県。
「やや不良」は山梨、岐阜、静岡、愛知、京都、山口、愛媛、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分の12府県となっている。
農林水産省によると各地でいもち病の発生が懸念されており、これまで17道県で注意報が出されている。また、九州の一部の県ではウンカの発生も報告されており注意が必要になっている。今後、日照不足で乳白粒が発生するなど、米の品質への影響も懸念される。
◆不稔の割合が心配
28日に開かれた「水稲の作柄に関する委員会」は、今年の水稲について、日照不足による軟弱徒長気味な生育に加え、出穂期前後の低温・日照不足で「もみ数や稔実への影響が懸念される」とする一方、今後は全国的に気温は平年並みから高めで推移することや、日照時間もおおむね平年並みに推移すると予想されていることから、今後は米粒の肥大・充実はおおむね平年並みに推移するとの見込みを示した。
そのうえで、次期調査について、とくに北海道・東北の一部で不稔の発生が懸念される地域ではその発生程度を正確に把握する必要があることや、稲が軟弱なため、倒伏、いもち病、カメムシの発生状況、台風、集中豪雨の作柄への影響などに留意する必要があることを指摘した。
なお、次期調査は9月15日現在で行うことを決めた。
◆早期栽培は99〜106
また、28日には西南暖地の早期栽培の作況指数も示された。それによると徳島「99」、高知「103」、宮崎「109」、鹿児島「106」、沖縄「95」で沖縄を除き、良から平年並みとなった。