最優秀賞に選ばれたのは岩手県の小松郁人さん。糞尿処理や乳牛処理場汚水の浄化装置を投資するなど循環型酪農への取り組みが評価された。
その他の受賞者は次の通り。
▽循環型酪農と自給飼料の生産に取り組む福岡県の山田博則さん。▽親子2代で経営を営む大阪府の岡克好さん。▽自給飼料を基本とした酪農に取り組む北海道の(有)ダイナミルク社長、上原豊さん。▽エコフィードを活用した酪農を営む高知県の川渕容史さん。
◆未来の酪農を担う『酪農の夢』コンテスト
酪農や畜産を学ぶ学生を対象にした「全国学生『酪農の夢』コンテスト」も同時に行われた。今年で3回めとなる同コンクールには、全国36校から77人の力作の応募があり昨年を上回った。
未来の酪農を担う情熱ある作品の中から最優秀賞に選ばれたのは、山形県立置賜農業高校の生物生産科2年の高橋奎太さん。以前共同経営で酪農を営んでいた祖父の姿を忘れられず、また親子3代で酪農を復活させたいとの夢を語った高橋さんは、具体的なビジョンや強い意志が評価されての受賞となった。
酪農起業実現のため、県内で唯一酪農が学べる高校に進学した高橋さんは2人の人物に出会ったことで夢への拍車がかかったという。
1人は「家畜が中心となって天と地と人がつながる」という「天地人の循環農法」の実現をめざす北海道の酪農学園大学創設者、黒澤酉蔵さん。もう一人はタレントであり酪農経営も行っている田中義剛さん。田中さんの「牛一頭からでもできる酪農起業」という言葉を目にしたことで、小さい酪農家でも生産、加工、販売を一貫させた6次産業による経営でやっていけるのだという希望と期待が高まったという。
現在夢に向かって農業簿記や経営学、ホームページの作成などの情報処理を学んでいる高橋さんは、乳製品の加工について学びたいと高校卒業後は進学を考えている。
いずれは循環農法と6次産業を実現させた酪農で、かつて「全国農業コンクール」で「天皇杯」の栄誉を手にした祖父を超えたいと力強く語った。
受賞した気持ちについて聞かれた高橋さんは、「酪農への気持ちを文章に綴ることで、改めて決意となって、それを発表できてよかった」と話した。
※高橋さんの「高」の字は正式には旧字体です。