事業実施主体となる民間団体が政府の補助を受け、市場などから豚肉を買い上げて冷凍保管し、流通量を抑えて価格回復を急ぐとともに養豚経営の安定に役立てる。
農水省の外郭団体である農畜産業振興機構が、買い上げ事業主体を募って10月中にも実施する。
調製保管は豚肉価格安定緊急対策といい、この発動は03年11、12月以来6年ぶりだ。保管頭数や実施期間などは現在検討中。
景気低迷と消費不振の中で牛肉価格が高くなったため需要は豚肉や鶏肉にシフトしたが、今度は豚肉の出荷増となって8月からは政府が定める安定基準価格の1kg400円を下回る推移(豚枝肉卸売価格)が続いている。
期末在庫も7月は前年同月と比べ推定で約3割増えている。
調整保管はここ10年間で3回発動され、保管頭数は最大で2万7000頭だった。
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農水省は29日、保管頭数を約7万頭にすると発表した。部分肉ベースでは約3万3780tとなる。この規模はここ10年では最大だ。補助金は2億9292万円。
また肉豚安定出荷緊急促進事業として▽生産集団が出荷安定の計画を作るために行う検討会の開催など▽同計画に基づき、出荷の早出し、繰り延べ、母豚の早期更新をする生産集団に対し、特定疾病の清浄化や種豚の導入など--を支援することも決めた。
同省は支援目的を次のように述べている。
豚肉卸売価格は例年夏場に上がり、秋口から下がるが、今年は7月下旬から急に下がり、8月中旬から省令価格は安定基準価格を下回っている。涼しくなって豚の発育が促進され、出荷が増えればさらに価格は低迷すると想定される。
一方、配合飼料価格が依然として高水準のなか、豚肉が大幅に値下がりすれば生産コストがまかなえず、資金難に陥る経営を増加させるだけでなく、わが国の豚肉生産基盤を崩壊させる恐れがある。
このため出荷安定の計画を作って実行する生産集団に対し、経営の体質強化を図る生産性向上の取り組みを支援する。