わが国の食料自給率は、熱量ベースで41%と依然低いレベルにある。加えて、38.5万haの耕作放棄地、担い手の高齢化、輸入食料の安全性に対する不安など、多くの問題を抱えている。
また、世界的には人口増や途上国の経済成長による食料需要が増加する傾向にあり、水資源や肥沃な農地の減少、さらに、食料、飼料、バイオマスとしての利用の競合や地球温暖化などの環境変動にともなう生産への影響など切迫した状況が挙げられる。
このような背景のもとシンポでは、飼料イネと大豆の収量増に向けた栽培の現状、米の高品質化と安定的収量確保のための斑点米カメムシ類といもち病防除対策、そして、食料自給率の向上を目指す研究開発の現状と方向を探った。
パネルディスカションでは「地域農業は担い手の所得向上から」、「再生産できる販売価格の設定を」、「病害虫防除のリスクを考えて貰いたい」、「自給率の向上は安定的な技術の構築から」などの意見が出されている。