今大会でテーマとしたのは「農業の復権」、「地域の再生」、「JA経営の変革」。JAグループはこれを「新たな協同の創造」
を通じて実現することを決議した。
◆トップのリーダーシップが鍵
「大会決議実践」についての特別決議では改めて、これまでの農家組合員による協同のほか▽安全・安心を通じた消費者との協同、▽農地の出し手と担い手の協同、▽新たな農業に携わる人との協同などに取り組み、「地域で必要とされる組織として機能を発揮していく」ことを決意。
大会決議実践のため、JAは「トップのリーダーシップのもと、経営理念を組合員・役職員で共有化する」とともに「地域実態をふまえた経営戦略を構築し着実に実践していく」と決議した。また、実践にあたっては、「連合会・中央会が連携して経営戦略を支援する」ことも盛り込み、決議実践の進捗管理を図っていく。
大会後の記者会見で冨士重夫JA全中専務は「食料増産が喫緊の課題になってきたことや、世界的な金融危機による市場原理主義の見直しなどで、協同組合セクターに光が当たる時代になっている」と改めて強調した。
◆農政運動は国民運動として「全方位的」に
「農政運動の強化」についての特別決議では、政権交代という歴史的大転換と農業、農村の危機的状況のなかで「すべての政党に対して生産現場の農家組合員の声を主張し国政に反映するという国民運動としての農政運動を展開する」こと決め、組織が一致団結して主張していくとした。
冨士専務は「これまでは政府・与党に偏りすぎた。基本に立ち返ってあらゆる政党に要求し声を反映させる働きかけをする。そのためには国民の理解が必要」だとして、日本の食料・農業・農村を守る国民運動が改めて重要になると話した。
また、具体的な政策要求についても「従来型ではなくもっと多様なやり方をしていかなければならない。とくに現場からの提案が重要」と話し、そのほか「生協などと連携した枠組みをつくって」政策提案していく考えも示した。
来年の参院選挙についての対応は、組織から候補を出すか、どの政党を支援するかなどは「まさに白紙。これから組織の声を聞いて検討していく段階」とし、また、政党との距離については「特段に差を設けるつもりはない」としながらも「政権与党にはより重きを置く」との認識も示した。
(写真)会見する冨士重夫JA全中専務