農政・農協ニュース

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JA全中 11月に「政策提案」 国家戦略に基づく政策構築を

戸別所得補償制度は計画生産の徹底が前提〜組織検討開始〜

 JAグループは10月14日の全中理事会で、今後の水田農業政策に関する基本的考え方と論点を確認、組織内検討を進めることを決めた。11月5日の理事会で政策提案「JAグループの考え方」として決める。
 今後の農政に向けた考え方の基本を、自給率目標の設定などを盛り込んだ「国内農業政策」と、重要品目の国境措置堅持などの「農業貿易政策」の両方を視野に入れた「国家戦略」として政策枠組みを描くことが重要だと整理。戸別所得補償制度は、そうした国家戦略に基づく総合的政策として構築されるべき、としている。具体的には、米の計画生産の徹底確保と需給調整対策の必要性などを強調する。
 政策提案は新政権の政策具体化をふまえながら決め、それに基づき政府・与党をはじめすべての政党・地方議会、関係機関などに働きかけ、国民・消費者に理解を広めてJAグループの意志反映を図っていく。 

◆現場の混乱を避けるべき


 JAグループは、米の計画生産と水田農業政策、さらに水田・畑作経営安定対策と戸別所得補償制度は、農業者にとって「極めて重大な政策課題」と認識し、政府・与党の検討状況を注視しながら、グループとして統一した基本的考え方を組織内に明確にして政策提案をまとめることにした。
 基本的考え方では、(1)一定の国境措置の堅持、(2)国内農産物の需給と価格の安定、(3)農業生産額・所得の増大と食料自給率の向上、(4)地域の担い手育成・確保と支援 など挙げ、これらを政策の「大前提」とすべき、と論点を提示している。
 とくに米については需給と価格の安定を図り、麦・大豆など不足する作物振興が重要であることから「計画生産は必要不可欠」としている。
 新政権は米の戸別補償制度を平成22年度からモデル事業として全国実施する方針を打ち出したが、全中は、事業の詳細を早急に明らかにし計画生産のメリット充実として周知徹底することが必要としている。
 そのうえで、基本的考え方では22年産対策として、米の再生産コストを補償し万全な所得安定を図る仕組み、21年産米の早期の政府買い入れ、需給調整の推進には国・都道府県・市町村行政の役割を強化する必要性、などを論点としている。

 


◆万全の所得確保策を

 

 23年度以降も米の計画生産を政策の基本とし、また、主食用米以外の作物生産では、計画生産参加者に対する主食用米並みの所得確保を基本とした支援措置など所得確保・経営安定対策が必要との考えを提示している。
 とくに戸別所得補償制度では、販売価格が下落した際の定額部分との差を埋める岩盤交付金、地域で大きく販売収入が下落した際の担い手への所得確保対策などの実現が求められるのではないかとしている。
 そのほか政府備蓄についても、国際穀物需給のひっ迫に対応可能な備蓄水準、国内需給の安定確保と国民ニーズをふまえた国産米による備蓄運営、非主食用として販売する仕組みとしての政府備蓄、などの考え方を提示、また、MA米については「国家貿易を堅持のうえ、国内需給に影響を与えない用途での輸入・管理の徹底」が必要だとしている。
 新政権が実現をめざす戸別所得補償制度は「生産数量目標」に即した生産者が対象との考え。これをもって一部では生産調整政策の「選択性」を喧伝する向きもある。
 しかし、JAグループの考え方は、食料安全保障の確立や持続的な農業の確立に向けた国家戦略を描き、それを実現するための「総合的政策としての戸別所得補償制度」として考えるべきというものだ。需要に応じた計画生産や需給調整政策による需給と価格の安定は国家戦略に基づく国内農業政策に欠かせない、として組織検討を進めていく。

水田農業政策 JAグループ基本的考え方のポイン

(2009.10.21)