農政・農協ニュース

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新規要望、一切せず 農水省の税制改正要望

 農林水産省は10月30日、平成22年度の税制改正の要望事項を財務省に提出した。

 農林水産省の政務三役は農業団体などからの意見募集を受け、税制改正要望事項については(1)実施期間が相当継続していないかなど今日的な「合理性」、(2)減収額や利用件数などからみた手段としての「有効性」、(3)補助金との重複など政策手段としての「相当性」の観点から見直した。
 その結果、21年度末に期限が到来する27件(農水省主管16件、共管11件)のうち、14件(主管10件、共管4件)について単純延長要望はしないことを決めた。
 14件には農協や農事組合法人が国の補助金を受けて農業者等の共同利用のための施設を取得した場合の不動産取得税の特例措置、農林中央金庫等が行う組織再編による登録免許税の軽減措置、農協等が新たに株式会社等を設立するために不動産を現物出資した場合の取得税非課税措置などがある。
 共同利用施設の不動産取得税の特例措置は昭和37年から実施されてきた。平成20年度の実績は169件で減税額は6億円あまりとなっている。
 20年度実績をふまえると主管分10件の特例措置等の見直しで来年度は約10億円の増収となる見込み。
 一方、主管分のうち延長要望する6件は農林漁業用A重油に対する課税減免(石炭石油税)、協同組合の合併に関わる課税の特例措置(法人税)、農業委員会のあっせんにより農地を取得した場合の課税標準の特例措置(不動産取得税)など。そのほか法律で措置することが定められている家畜排せつ物の管理施設に対する特例措置(固定資産税)、バイオ燃料製造設備に対する特例措置(固定資産税)も延長要望した。
 会見で山田副大臣は「10億円以下の措置は効果がないと判断して大胆に切った」と話し新規要望事項についても林業の相続税の特例措置などを検討したが「来年度でもいい」としてすべての新規要望事項を見送った。農林水産省として新規要望を行わなかったのは過去にない。

(2009.11.02)