提案書では戸別所得補償制度について▽原則としてすべての販売農業者が対象とされることから、これまで育成してきた集落営農組織や認定農業者など地域農業を担う経営体の発展や体質強化が停滞することが懸念される、▽「水田利活用自給力向上事業」では麦・大豆などへの支援水準が下がることから集団化、団地化の取り組みが後退することが懸念される、▽滋賀県では麦の作付け時期の関係からすでに市町別の生産目標数量の参考値を示しているが22年度はどうなるのか現場で不安が広がっている、などの問題点を指摘した。
そのうえで(1)集落営農組織や認定農業者等の体質強化にも配慮した制度とすること、(2)米の需給調整は重要なため集落ぐるみの麦・大豆などの集団栽培への支援強化、(3)生産目標数量の算定ルールなど基本的な考えを11月上旬に提示することなどを提案した。
滋賀県は21年3月現在で集落営農組織は468あり、認定農業者1808経営体を合わせた担い手が麦・大豆のほぼすべてを生産し水稲でも約3割を担っている。今後は水稲の集積拡大によってこれらの担い手で水田面積の7割を担う構造をめざしている。また、麦・大豆を生産調整の基幹作物と位置づけ、ブロックローテーションによる集団的な取り組みでこれまで確実に生産調整目標を達成してきた。
嘉田知事は、農業者の経営安定、自給率の向上、農業の多面的機能の確保など「新政権の農業政策がめざす方向は県と同じだが、戸別の農家に(交付金を)出すのか、ある程度まとまった集落営農組織などにも出すのか、そこが課題。現場では集団組織から個別農家が離脱するのではないかと不安の声がある」と会談で語ったと話した。舟山政務官はこれに対して「配慮する」と応じたといい「一定の理解をいただいた」と話した。
(写真)舟山政務官に政策提案書手渡す嘉田知事