開会にあたりJA全中くらしの活動推進部高齢者対策室の米本雅春部長は「助けあい組織は協同組合組織実践の基本組織。元気に活発に活動していくためにJAグループとして何ができるか考えていきたい。組織を応援し、育成していきたい」「この交流会を問題意識の共有の場としてもらいたい」とあいさつした。
また、同対策室の今井次長から助けあい組織の情勢について▽JAの合併などによる組織数の減少▽活動の停滞・低下傾向にある組織の増加▽協力会員数は増加している、などと報告された。
交流会の目玉としてJAあづみ総務開発事業部福祉課の池田陽子さんによる事例発表と、経済評論家の内橋克人氏による特別講演があった。
会場では熱心に両氏の演説を聞く姿が見られた。
◇地域で求められるものを自ら考える場に
池田陽子さんの事例発表
平成10年に“家庭の中だけでない地域による介護”の発想で「くらしの助け合いネットワーク“あんしん”」を立ち上げた。高齢者福祉の活動が訪問介護中心となってしまい、ホームヘルパー以外の会員が活動できる場として「あんしん広場」ができた。「困ったときはお互い様」の理念を芽生えさせる広場として活動を進めてきた。その後「人材育成」を目的とした1期2年の「生き活き塾」が開講し伝統学習の場となった。最初は話し合いの座学だったが、地域に求められているものを自らが考える場に変わっていき、受講者の自主性が生まれてきた。生き活き塾から朗読ボランティアや直売所への出荷、菜の花プロジェクトなどの活動へと広がった。
食と農を核にした活動はコツコツと地域に広めていけばすべて事業になると思う。活動には夢やビジョンが必要。食料を自給することが安心に暮らせること。
◇天寿全うを喜べる国に
内橋克人氏の講演
テーマは「日本農業のおかれている情勢と地域活動」。
経済大国といわれる日本だが、本来人間の欲求であるはず“天寿全う”を望む日本人が少ない。まず天寿全うを喜べる国に変えていかなければならない。
デンマークはオイルショック後、急速に風力発電を充実させ、EU諸国に輸出するまでに成長しエネルギーの自給を実現させた。「ゴールを設定してルートをつくる」人間の知恵がEUには根付いている。それに比べ、日本は緻密なルートを作り上げることは得意だがゴールが不安定。日本は知性レベルが低く、市民社会がいまだ未達成である。
また日本は穀物生産高が異常に低い。安いものがいいというのは間違いで、その消費者意識を変えていかなくてはいけない。「なぜこれは安いのか」ということを問う“自覚的な消費者”を育てる取り組みをしていくべき。
日本の社会は農・エネルギー・ケアの「F・E・C」の自給圏を拡大することが重要である。
米騒動を働きかけた第一人者は女性だった。女性の力は大変大きなものであるということを自覚してほしい。
(前日の表彰式のもよう)