シンポジウムには全国のJA役職員や女性部、子育て支援希望者ら約200人が参加した。
先月のJA全国大会で次世代をサポートする子育て支援活動の推進が大会決議に盛り込まれたことをふまえ、子育て支援について考える場とした。
来賓に訪れた農水省の女性・高齢者活動推進室長の二階堂孝子氏はあいさつで「農業は見方を変えれば将来につながる夢ある産業だと思う。ここにいる人が地域を先導していってほしい」と述べた。
農村地域は都市部に比べて子育て支援策が行き届いておらず、課題も多い。その中で子育て支援に実際取り組んでいるJAさつま日置からの事例報告があった。
◆地域の子育てひろば JAさつま日置の事例
報告したのは子育て広場「ピッコロ」で指導を行っている女性部の森園圭子さん。元幼稚園教諭の森園さんは「CDに頼り、童謡を知らないお母さん、市販のおやつを与えているお母さんが多くなり、手作りや工夫が足りないのではないかと思った。手作りおやつで食育したいと思いました」とスタートしたきっかけを話した。
楽器にちなんで「ピッコロ」と名付けられた広場はスタートして約1年。未就学児の子どもとお母さんのふれあいの場として同JA日吉支所の会議室で第2、第4水曜日の月2回活動している。
現在42家族が登録しており、毎回平均10〜13家族が参加し、今では鹿児島市内からの参加もあるという。
内容は女性部の料理グループ「おしゃべりクッキング」のメンバーが作った地元食材などを使ったおやつの時間、歌を歌ったり絵本の読み聞かせ、手作りの遊具での遊びなどの活動だ。
森園さんは子育て相談を受けることもあるといい、地域の子育て支援の場として定着している。
◆魅力は親子でふれあえる“場所”
その後同JAの子育て支援活動について調査を行ったJA総合研究所の佐竹義男氏から報告があった。
参加理由についてのアンケートでは子どもの仲間作りや息抜きという回答が多かった。魅力については「親子で遊ぶことのできる場所」との答えが、楽になったこととしては「子どもと一緒に出かける場所ができた」という答えが最も多かった。
また企画内容が好評で、おやつによる食育の効果も表れていることがわかった。
◆JAらしい子育て支援に向けて
また、農研機構研究員の片山千栄氏から「若手女性農業者の実態と子育てに関する意識について」と題した基調講演があった他、片山氏の司会でパネルディスカッションを行った。
JAさつま日置「ピッコロ」の森園さん、同JA生活部生活福祉課の笠野惠子さん、JA秋田ふるさと経営管理支援室長の皆方均さんをパネリストに「地域の次世代をサポートする場作り」として、JAらしい子育て支援とは何かを考えた。
JA秋田ふるさとは子育て支援ひろばのオープンを来年4月に控えての立場から意見を述べた。
JAが子育て支援を行う意味は▽次世代対策▽遊休施設の有効活用▽食育との意見があがり、今後の希望についてJA秋田ふるさとの皆方さんは「現在あるショートステイ施設などと合わせた『福祉エリア』として認知してもらいたい」、JAさつま日置の森園さんは「親子以外の地域の人たちにも参加してもらいたい」、同JAの笠野さんは「ピッコロを卒業した人たちとその後の交流ができるよう考えていきたい」と話した。
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JAらしい子育て支援を考えたパネルディスカッション。(左より)JAさつま日置・森園さん、笠野惠子さん、JA秋田ふるさと・皆方さん。