農業倉庫保管管理技術研修会
保管管理技術の向上をめざして全国4会場で
JAグループの米麦等の共同販売の重要な拠点である農業倉庫は、現在、全国に約7000棟その収容力は約620万トンを有している。最近は農業倉庫の大型化、低温化などの整備が進んできているが、依然として小規模で老朽化した常温倉庫も数多く存在している(棟数で全体の6割、収容力で4割)。また、JA経営の効率化などから倉庫担当者の兼務業務が増えるなど、保管管理体制の弱体化が懸念される状況もある。
その一方で、消費者や実需者からは、食の安全・安心を求めるニーズが高まり、米穀についても栽培履歴は当然のこととし、さらにカントリーエレベーターや農業倉庫における保管管理履歴の開示が求められている。
高品質米志向が強まるなかでは、農業倉庫における米麦の保管・品質管理は、消費者・実需者の要望に的確に応えるよりきめ細かな対応が必要となっている。
このためJA全農と農業倉庫基金では、毎年、「農業倉庫保管管理技術研修会」を開催しているが、今年も次の4会場で研修会が開催されている。
○東日本1(北海道・東北)11月26〜27日 盛岡市
○東日本2(関東・甲信越)11月19〜20日 新潟市
○中日本(東海・北陸・近畿・中国・四国)11月12〜13日 大阪市
○西日本(九州)12月3〜4日熊本市
4会場合わせた受講者は約200名の多数にのぼった。
◆穀温・水分管理の重要性など充実した研修内容
11月12〜13日に大阪市で開催された中日本ブロックの研修会を取材した。
第1日目は開会挨拶の後、全農米穀部から最近の「米穀情勢」について報告がされ、次いでビデオ「米の保管と適切な管理」が上映された。昼食休憩をはさんで午後は、農業倉庫基金から「米麦の品質管理」「米麦保管管理の実際」について講義がされた。ここでは、[1]保管米麦の品質変化の要因、[2]穀温・水分管理の重要性、[3]適切な保管管理の留意点などが強調された。
その後、JAグループの米卸売会社である全農パールライス西日本(株)の中山正敏常務取締役から「実需者・消費者の求める米」について、販売現場の実情と今後の見通しなどが報告された。その後、農業倉庫基金から「農業倉庫受寄物損害補償制度」について講義がされた。
◆研修内容の理解度を確かめるテストも実施
第2日目は「貯蔵穀物害虫・ネズミの防除(農業倉庫の空くん蒸の実際を含む)」について国際衛生(株)技術研究所の松阪守主任研究員が講義した。コクゾウムシなど米麦の5大害虫の生きたサンプルを使った講義で、分かりやすいと受講者には好評だった。
その後「農業倉庫業法の概要と農業倉庫の業務」を農業倉庫基金が講義した。引き続き、ビデオ「フォークリフト作業の災害事例と安全のポイント」が上映された。
午後は、いままでの講義された農業倉庫の保管・品質管理関係の理解度を確認する意味を含めて、20数問のテストを実施した。テスト終了後、各問題の解答内容について説明があり、さらに理解を深めることとなった。
最後に、各受講者に「修了証」を手渡し研修会を終了した。
(写真)
久寝理事長から「終了証」が(新潟市会場で)