同日の藤井財務大臣との折衝で概算要求通りの総額5618億円の確保が了承された。
米を生産数量目標に従って生産した販売農家に交付金が支払われる米戸別所得補償モデル事業では、定額部分の単価は10aあたり1万5000円と決まった。
これに加えて販売価格が過去3年平均を下回った場合はその差額をもとに変動部分として交付金が支払われる。予算額は定額部分で1980億円、変動部分で1391億円を確保した。生産数量目標の達成には、一定の条件で調整水田による達成も認めることにした。
「作らせない農政、差別とペナルティの農政であったものを自主的に夢と希望をもって参加する、しかもがんばればがんばるほど収入が増えていくという未来に展望が開けるような農政への第一歩となる。その仕組みができたと確信している」と赤松農相は語った。
水田利活用自給力向上事業では、麦・大豆や地域振興作物への支援単価がこれまでより減額とならないよう都道府県で弾力的に設定できる調整枠を設ける。麦・大豆から新規需要米の作付けに転換する場合、当初方針では水田経営所得安定対策の固定払いがあるため、10a8万円支払いの対象にしないことにしていたが、固定払いのほうの交付申請を行わないことを条件に交付を認める仕組みとした。
ただし、過剰米対策は行わない方針で、同日の会見で赤松農相は「(生産数量)目標をきちんと守る人にメリットを与える。本当の必要なものしか作らないから需給は締まる」との見通しを示したほか、佐々木政務官は豊作による過剰米を処理する仕組みである集荷円滑化対策も来年度からは実施しないと明言した。また、米価下落を補てんする収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)も実施しない。
JAグループは11月に決めた政策提案で過剰米対策の必要性や、地域・銘柄別に大きく米価下落をした場合の担い手の所得確保対策などを提言していたが、いずれも盛り込まれていない。