JAグループは平成9年から国連食糧農業機関(FAO)のテレフード募金に協力し途上国の農村開発を支援してきたが、アジア諸国とのEPA(経済連携協定)の締結にともない農協間協力を円滑に進めようとFAO募金に加えて、「アジアとの共生募金」として発展的に組み換えた。この募金はアジアの農業団体が行う小規模プロジェクトを直接支援できるものとした。
20年度までの募金総額は4000万円を超え、FAOテレフード支援のほかに、アジア各国の農業団体が行う人材育成研修、農村起業、土づくり技術の普及やバイオマス生産の取り組みなどを支援してきている。
これらの取り組みは農業者のニーズに直接応えるものになっており、また中期的な実践でもあることから支援の継続が現地から期待されているという。
一方で、世界の食料事情は様変わりし食料需給はひっ迫が基調。一部の輸出国では自国の食料確保を優先し輸出規制を行うなどの状況では貿易自由化を進めても途上国の人々の「食料を得る権利」が保証されるわけではないとして、JAグループは自由化のみを追求する貿易交渉ではなく、食料増産による食料安保の確立を促進するルールづくりが必要だと主張している。
こうした主張は今後のWTO交渉でも各国と連携して訴えていくが、主張を実践に移すためにもJAグループは「アジアとの共生募金」活動を当初の予定より5年間延長して27年3月末まで取り組みを進めることにした。
この募金活動については、農業・農村ギャラリー(大手町・JAビル)、ごはんミュージアム、アセアン農村ふれあいプラザ(有楽町・東京フォーラム)でも呼びかけ、広く一般にも募金の趣旨について理解を広めていく方針だ。