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「ライブコート」技術を開発  兵庫農技セ・サカタのタネ

薬効、省力・低コストに期待

 兵庫県立農林水産技術総合センター(以下「兵庫農技セ」)とサカタのタネはこのほど、共同で生物農薬に使用されている有用菌を種子にコーティング(「ライブコート」)し、蒔くだけで防除効果のある技術を開発した。1〜2年後の市場展開を目指す。

(写真提供・兵庫県立農林水産技術総合センター) 近年、食の安全・安心へのニーズが高まるなか、化学合成農薬に依存しない病害虫防除の方法として、病害に対する拮抗微生物である生物農薬の使用が注目されている。
 現在、市場にある生物農薬の使用方法は、水に溶かして作物への散布や種子を漬けたり、培土に混入して使用するなど、余分な手間が必要で簡略化が求められていた。
(写真提供・兵庫県立農林水産技術総合センター) 新技術では、トマト青枯病防除剤の生物農薬に含まれる有用菌をトマトの種子にコーティングし3カ月以上保存できる。
 この新技術は種子に有用菌を付着させるため減圧処理し、種子の毛穴の中に菌を封入させる、低温乾燥処理により有用菌を休眠させる、有用菌がはがれ落ちないための固着剤の開発、からなる。
 無処理区と生物農薬のライブコート区を比較すると、無処理区の感染株率が90%だったのに対し、ライブコート区は50%に抑えられた。また、茎断面の褐変度合いも、無処理区の55%に対し、ライブコート区は18%だった。
 兵庫農技セでは「高い防除効果が確認できた」とし、有用菌を吸着させる培土が不要、最小限の有用菌で効果を発揮、生物農薬の散布作業など不要の特徴を受け薬効、省力・低コストに期待を寄せている。
 今後は、ライブコート技術で利用できる対象作物や生物農薬の種類を拡大して行く予定。
 
(写真提供・兵庫県立農林水産技術総合センター)

(2010.01.25)