会場にはこの集いに協賛する全国26JAをはじめ連合会、地域団体やメーカーなどから贈られた多彩な特産品などがずらり並んだ。
中川農協協会会長が日ごろの支援に感謝しなから開会あいさつを述べたあと来賓が次々にあいさつした(抜粋は別項)。
国会から民主党の筒井信隆議員(衆議院農林水産常任委員長)と篠原孝衆院議員、自民党からは山田俊男参院議員が出席し、筒井氏は今国会に出す環境・農業関係の目玉法案などを紹介した。
次いでJAえひめ南の林正照組合長とJA東西しらかわの鈴木昭雄組合長が威勢良く鏡開きをし、梶井功東京農工大学名誉教授の発声で乾杯した。
アトラクションでは女性で始めて真打となった落語家の古今亭菊千代師匠が南京玉すだれや手話落語を鮮やかに披露しながら笑いを取って会場の和やかムードを盛り上げた。
今年の懇談では新政権の農政や都市と地方の格差、「チェンジ」の行方と「新たな協同」などを話題に新年の抱負を語り合い、集いの最後は協賛品の福引を楽しんだ。
◆「新年の集い」あいさつの抜粋◆
中川廠行氏
(社)農協協会会長
政権は交代したものの、まだ私たちが期待しているような動きは出てきておらず、この閉塞感を早く打開しなければと、歯がゆい感じがいたします。
今年はJAグループのみな様方が腹を据えて何か話の種になるようなことでもやったらどうかとも思います。
きょうの懇談の中から新しい夢がわいてくる、そんな場になることを期待しています。
伊藤澄一氏
JA全中常務
第25回JA全国大会は「大転換期における新たな協同の創造」ということで(1)農業の復権(2)地域の再生(3)JA経営の変革というテーマを掲げました。
「地域の再生」につきましては、JAは地域のみなさんのために様々な役割を果たしており、また全国連はJAの窓口を通じて農家組合員に様々なサービスを提供する事業を展開しています。
これからは我々が果たしている地域での役割をもっと国民に知っていただくセンスのある、それでいて積極的な広報活動を展開していきたいという議論もしています。
加藤一郎氏
JA全農専務
最近「絆(きずな)」という言葉が目立ちますが、裏を返せば人間関係が希薄になっている中で絆を求める動きが強くなっているからだろうと思います。
農協新聞の使命はJAグループと農家の絆をつくるだけでなく、国のあり方といったものに対して疑問を持つ学者などの方々とJAグループの絆をつくっていくというところにもあると思います。
2012年は国連が制定した「協同組合年」です。それに向けて協同組合の価値というものをどう国民に知っていただくか、この点もまた農協新聞の使命だろうと思います。
宮本愼一氏
JA共済連常務
農協新聞は著名な先生方や、JAのすばらしい指導者のお考えを学ぶ新聞として毎号を楽しみにしています。
さて今年はJA共済の新しい3か年計画が4月からスタートし、また共済事業にも適用される保険法が施行されるという節目の年に当たります。
3か年計画では利用者・組合員の家庭を訪問し、契約内容を懇切丁寧に説明する3Q訪問活動の定着と質の向上を追求します。そしてきめ細やかな保障を提供し、相談機能を十二分に発揮しながら、相互扶助の理念に基づいて様々な課題に取り組んで参ります。
下川正志氏
家の光協会常務
今年は『家の光』、『地上』『ちゃぐりん』の普及活用と、食農教育あるいは協同組合学習といった教育文化活動を通じて「新たな協同の」実践に向けて全力を挙げていきたいと考えています。
『家の光』は昨年、1000号を迎え、また今年は5月号で創刊85周年という節目の年を迎えます。今年はJAと地域の結びつきを強める活動をいっそう促進したいと思います。
そしてJAの最も大切な組織基盤の強化に向けて全力を挙げて参ります。農協新聞とは同じメディアとして連携して取り組みたいと思います。
筒井信隆氏
衆議院議員
先ほど、農協協会の会長から、新政権のやっていることはまどろっこしいという言葉をいただきました。
しかし、この4月から所得補償のモデル事業が5000億円を超える予算で始まります。
経営安定対策は来年度も続きますし、激変緩和の調整枠もできまして従来の転作作物についての支援水準とほとんどいっしょの形のものが実現できると考えています。
それにプラス主食用米について1反当たり1万5000円の固定払いと米価下落補てん分があるわけで従来を大幅に超える支援水準であると確信しています。
林正照氏
JAえひめ南組合長(愛媛県)
都市と地方の格差が開き、これでは農業の夢が持てないとの悩みは深刻ですが、ぼやいていても始まらないので、ひとつ坂本龍馬なみに今こそ革命の時だとでもいった気概を持ちたいと思います。
今こそ、みなさんといっしょに踏ん張らないと日本農業はなくなってしまいます。JAはがんばります。今後とも暖かいご支援をよろしくお願いします。
梶井功氏
東京農工大学名誉教授
鳩山由紀夫首相はJA全国大会に贈った祝辞の中で、日本の向かうべき方向は弱者切り捨ての新自由主義、市場原理主義ではなくてお互いが助け合う協同の社会をつくっていくんだという意味のことをおっしゃった。
これは協同組合運動の目指すところと同じではないかと感激しました。農政もこれに沿う形になるよう祈念したいと思います。
今村奈良臣氏
東京大学名誉教授
私は農協新聞創刊80周年記念でつくった一句を披露してあいさつに代えます。
八十(やそ)の春
瑞穂を照らす
木鐸(ぼくたく)ぞ
木鐸とは筆鋒鋭い新聞のことをいいます。
宇沢弘文氏
東京大学名誉教授
戦後60年以上、農の営みの持つ重要な意味は無視され、農村は徹底的に破壊されてきました。これをどう再生するかに日本の将来がかかっています。
新政権はだらしないところがありますが、民主党のいいところは正論を吐いて主張すれば、それを実際に政治のプログラムに乗せようとする点です。
そこを追求して大きな運動を起こすことが必要で、その拠点が農協の運動です。私も何かできることがあればやりたいと思います。
鈴木昭雄氏
JA東西しらかわ組合長(福島県)
新世紀JA研究会というのは耳新しいかと思いますが、発足して4年、会員は農協の組合長で全国に51人。私が2代目会長です。
年に2回、地方でセミナーを開いていますが、今後とも全国の農協運動と地域を横断し縦断しながら農協運動の理想を追求したいと考えています。よろしくお願いします。
村田興文氏
シンジェンタジャパン(株)社長
「水」の問題に対する危機感が世界で日増しに募っています。その中で、瑞穂の国といわれるくらい豊かな農業基盤を持った日本がどうして繁栄できないわけがありましょうか。
これからは我々の業界が自給率向上を含めて日本農業にどれだけ貢献できるか、それが我々の挑戦だと思っています。
山田俊男氏
参議院議員
全国を回ると、みなさんから「民主党が失点ばかり重ねているのに、自民党からは政策も人も見えないじゃないか」といわれます。 それで私は先ほども政策について谷垣禎一総裁に「とにかく民主党を上回る政策をつくる議論を始めようではないか」と要請してきたところです。
また「人」の問題ではシャドーキャビネットをつくって次の大臣たちがそれぞれ所管の分野で活発に発言し、それがメディアに取り上げられるという形をつくるべきだなどの提言もしてきました。そうしないと民主党に勝てないと思います。
宮崎総子さん
テレビキャスター
この集いには女性が少なくてさみしい感じですが、これからは農家の女性がもっとたくさん来て、にぎやかにお話ができる場になればよいと思います。農協新聞にはそうした機会をたくさんつくってほしいなと思います。