(写真)用意した席が足りなくなるほど多くの人が参加した
JAのファーマーズ・マーケット(以下、FM)は、地産地消の代表的取り組みとして全国的に広がっている。現在、JAや組合員が関わっているFMは全国で1960カ所あり、年間総売上は1840億円を越える。昨秋の第25回JA全国大会では「JAFMをJAグループの事業として確立する」ことが決議され、FMを基盤とした特産品加工事業、学校給食などへの地場産品提供、などの取り組みは今後ますます重要になる。
セミナーで協議会の坂根國之会長(JA鳥取中央組合長)は「大手スーパーも地産地消を積極的に始め、競争の激化や組合員の囲い込みなどが起こっている。これからのJAファーマーズマーケットは質の向上をめざし、流通販売だけでなく地域活性化の中心にもならなければならい」と述べた。
協議会では毎月3回のメールマガジン発行、研修講師やアドバイザーの派遣などを行い、FM事業の確立を推進している。
(写真)
JA地産地消協議会の坂根國之会長
◆「直売所が繁盛しているJAは経営全体が好調」
セミナーで講演したのは日本総研の大澤信一主任研究員、JAおちいまばり(愛媛県)の黒川俊継専務理事、ジェイエイあぐりすかがわ岩瀬(福島県)の澤山聖美さん、協議会の緒方博修専任アドバイザーの4人。
大澤氏は「直売所が繁盛しているJAは他の事業も伸びている」とFMがJA運営にも貢献していることを指摘し「直売所は生産、流通、需要の創造、という農業全体の改革の道を示している」とした。
緒方氏はJAおちいまばりは“6次産業化”、JAすかがわ岩瀬は“農商工連携”の、それぞれ2種類の好事例だと評価した。
JAおちいまばり
直売所「さいさいきて屋」は2000年11月にオープン。「今治の農業を大切にしながら、食の情報を発信する」という地産地消型の地域農業活性化を経営理念に、会員・売り上げともに伸ばしてきた。なかでも地元食材を主役にした食堂やカフェが人気だ。組合員へは安売り合戦はするな、などの提案をし、JAとしては生産意欲向上のために野菜や果物を主役にしたケーキ・焼酎などの加工品を作っている。JA管内にある14の漁協と提携した鮮魚販売も人気だ。
(写真)
JAおちいまばり 黒川俊継専務理事
JAすかがわ岩瀬
直売所「はたけんぼ」では、行き詰ったらとにかくお客さんに聞く。2008年に消費者200人を対象に行った米粉ヒアリング調査から米粉の料理教室やお菓子教室などを開講した。
須賀川産コシヒカリを使った米粉の販売を始め、須賀川商工会議所、県南病院給食会、福島県米粉ネットワークなどとも連携してイベントなどに出展している。地元企業と連携した須賀川・はたけんぼ地消地産開発チームを立ち上げ、米のジャム、米の麺などの商品開発も多岐にわたる。
(写真)
(株)ジェイエイあぐりすかがわ岩瀬 澤山聖美さん
(関連記事)