生物は外部から侵入してくるカビや細菌などを認識し、防御するしくみを持っているが、異種生物の侵入だけでなく「非自己遺伝子(トランスポゾン)【※】」に反応するしくみも持つ。
遺伝子組換え作物に必要な有用遺伝子は、しばしば植物によって非自己遺伝子として認識され眠らされてしまうことがあり、遺伝子組換え作物の効率的な開発の妨げとなっていた。
今回の発見で「植物は非自己遺伝子をどのようにして眠らせるのか?」という重要な問題の解明に向けて大きく前進した。
この発表は全世界で4000人のメンバーが所属し優れた論文を紹介するFaculty of 1000にも選ばれた。詳しい内容は農生研ホームページから。
※【非自己遺伝子】
生物の遺伝情報のセットは「ゲノム」とよばれる。ゲノムには自分の親から受け継いだものではない「非自己」な遺伝子やその残骸も多数存在している。生物はそれらすべてを不活性な状態に保つ(眠らせる)ことで、必要な遺伝子が危害を被ることを妨げている。