今年のセミナーは労働法令改正に伴う対応策やメンタルヘルス対応での留意点を中心とした内容で行い、JAの管理職クラスの職員55人が参加した。
1日めは同研究所の薄井寛理事長が昨年の賃金交渉を振り返りながら情勢報告と課題提起した。
◆労使交渉さらに厳しく
春季労使交渉の情勢については、景気の再減速で経営側は賃金よりも雇用を重視する可能性があり、昨年以上に厳しい交渉が予想されると指摘。その中で労使の対立を避けた取組み、モチベーションの向上を課題にあげた。
JAの直売所も昨秋から前年実績割れという厳しい状況にあり、徹底した情勢認識と労使間の情報共有が交渉の課題だとした。
また、人事担当に寄せられる相談件数は年々大幅に増えていると報告。職員の意識調査から見えてきたのはトップや役員の行動を見ている層が多いこと。若手社会人には転職願望が強いという調査結果もあり、それらの結果を頭に置く必要があると述べた。
(写真)人事労務担当役員・管理者ら55人が参加
◆課題は活力ある職場づくり
JA全中の土屋博常務は「JAグループをめぐる課題と対応策」について報告。JAの経営がしっかりしてこそ農家への対応もしっかりしていけるとして、JAグループの活力ある職場づくりに必要な取り組み課題を解説した。
「JAが今かかえている課題は徐々に積みあがり鮮明になったもの。環境に対応する展望に切り替えていく必要がある」と述べたうえで、消費者と連携した農の復権やJAの枠を超えた経営、地域や組合員との接点を増やして職場風土を変えること、などを提起した。
その後、早稲田大学ビジネススクール教授の遠藤功氏が「人材育成の重要性と強い職場づくり」について解説を行った。
(写真)JA全中・土屋博常務